【日時】3月18日~20日
【天候】晴れ
【メンバー】なべたけ(L)、岳、みのさん
【行程】
18日 戸台駐車場~角兵衛沢の出会い~角兵衛沢のコル(幕営)
19日 角兵衛沢のコル~鋸岳(第一高点)~小ギャップ~大ギャップ~六合石室(幕営)
20日 六合石室~甲斐駒ケ岳~駒津峰~仙水峠~北沢峠~戸台駐車場
【報告】
当初の目的地は白馬岳方面だったが気象情報に気掛かりな点があったため南アルプスに目的地変更となった、深夜、なべたけ号で相模原を出発する。
途中で仮眠をとり戸台駐車場に到着。
30台程度の駐車車両と身支度している登山者の姿がある。
我々も身支度とトイレを済ませて7時に河原歩きを始める。
堰堤を幾つか越え、休憩を挟み、2時間弱で角兵衛沢の出会に着く。
ここで渡渉し、水筒も満たす。
苔むした歴史感あふれるケルンを通過し、赤布に導かれて尾根に取り付く。
くねくねと迷い易い踏み跡を赤布と先行者の足跡を頼りに進む。
その後沢沿いを登って高度を上げ、大岩下の岩小屋を見送る。
岩小屋に向かうパーティーが見える。
傾斜がきつくなった雪面を、息を切らせ汗をたらしながら黙々と登る。
スフィンクス岩を見送り、無心に登り続けると再度ガラ場が現れる、落石をださぬようにそっと歩いて通過する。
ヘトヘトになって角兵衛沢のコルに到着するとテントが1張り設営されている。
我々の前を行くパーティーはテント設営せずに頂上まで登りつめる様子、聞くと日帰りの予定だそうだ。
なべたけさんがコル手前にテント設営場所を選び、雪の斜面をピッケルで整地してテントを2張り設営。
初日の疲れを癒すため早々に食事を済ませて明るい内に就寝する。
19日朝7時に行動開始する。
鋸岳(第一高点)を登り詰め、稜線を進むと小ギャップが現れる。
鎖が張ってあるが時間が掛かりそうなので懸垂下降する。
対面の斜面を登り返すと20mくらい先に小さなピークが2つ並んで見える。
なべたけさんがフリーで通過すると指示するが、ピークの直登ルートもトラバースルートもどちらも雪の急斜面に見えたので、お願いしてロープを出してもらい岳さんにリードしてもらう。
小ピークの取り付きで後ろを振り返ると、追いついた2パーティーが順番待ちしている。
なべたけさんがフリーでしたらお先にどうぞと声をかけると猛者たちは追い抜いていく。
ただ雪の急斜面とその上の岩場は慎重に時間を掛けていた。
小ピークに登り、懸垂下降の準備をしていると先程抜いていった猛者たちが登り返して戻ってきた。
フリーではあとちょっと無理だったとのこと。
懸垂下降すると更に鎖が下に延びる夏ルートが見えてきた。
なべたけさんは雪崩と落石リスクを避けるため稜線ルートを偵察する。
岳さんと自分は待機するが場所が悪く時々石が落ちてくる。
拳骨大サイズもあり、ボスボスと体に当たる音がするので岳さんを見ると運悪くヒットしてしまっている。
岳さん恐怖と痛さに耐える。
後でヘルメットを見せてもらったら窪んでいた。
ヘルメットは命の防具だ、大事に至らなくて良かった。
稜線に上がり一休みする。
先程の小ピークがとても近くに見える。
この短い水平距離の移動を実現するために費やした登りと下り、落石の恐怖、そして偵察など様々な頑張りがあった。
満ち足りた気持ちで休憩する。
稜線を漫歩していくと大勢の人が待機している、大ギャップだ。
暖かい陽だまりで懸垂下降の順番待ちをする、同じく待機している人と声を交わす、おっかない夏ルートに比べれば順番待ちがあっても明るい稜線ルートを辿れて幸せだ、と意見が一致した、皆の衆楽しんでいる。
大ギャップに下降してルンゼを暫し下ると細いガリーが有る。
なべたけさんが先程から観察している様子なので、ここを行きますかと声を掛けると、手持ちの確保器材では不足とのこと、そこまで詳細にルート読みしていたのかと驚く。
その先の斜面を登り返し、第二高点の頂上は見送って中ノ川乗越に下る。
巻いて登って引き返すように下るルートなので方角を勘違いし易い、SOBEさんの会報記録の通りだ。
中ノ川乗越では大勢が休憩している。
ここから下山する模様だ。
我々は先に進む。
登り返し、樹林帯を進み、三つ頭を通過して六合石室に至る。
小屋は小さく先行者もいて窮屈なので幕営する、傾斜が緩いので昨日より整地は簡単だ。
20日朝6時に行動開始し、甲斐駒ケ岳頂上から延びる尾根を登る。
雪稜や岩稜を時々左右に巻いて進む。
傾斜の立った場所の雪はアイゼンがキュツキュツと鳴るくらい良くしまっており申し分のない足場を提供してくれる。
ニセ山頂を通過すると頂上の祠が見える。
急坂が始まり上は青空しか見えなくなるが、登りきると頂上広場に出た。
劇的だ。
なべたけさん、岳さんとグータッチする。
雲ひとつ無く風も穏やか、縦走路を振り返る。
また仙丈、北岳、鳳凰三山は勿論、塩見岳の奥の千枚、悪沢と赤石岳までの展望に時間の経つのを忘れて見とれる。
駒津峰への下りは先頭を歩かせてもらった。
3連休最終日なので立派なトレースが付いている。
人影は無く出会ったのは1パーティーだけだった。
駒津峰で甲斐駒を振り返るとまた時を忘れてしまい、なべたけさんから先を促される。
仙水峠まで一気に下り、その先の仙水小屋の湧水で喉を潤す。
時間が押しているのでなべたけさん先頭で引っ張り、北沢峠、大平小屋、丹渓山荘を経由して最後は河原を小走りするようにして戸台駐車場に戻る。
長年憧れていたルート、楽しく充実した山行だった、がっちり握手する。