烏帽子小屋~裏銀座~上高地

期 日:2019年8月9日(金)~8月12日(月)
参加者:レー子

8月9日(金)晴れ
七倉山荘=高瀬ダム(6:00)-ブナ立尾根取付き(6:27)-三角点(9:10)-タヌキ岩(9:20)-烏帽子小屋(10:36~10:52)-三ツ岳(12:33)-野口五郎小屋(14:08)

前夜23:00新宿発の毎日アルペン号に乗車する。バス乗り場には各方面に向かう登山者が大勢集まっており、行き先別に順次到着するバスにそれぞれ乗り込んで出発して行く。乗車予定のバスは七倉、扇沢で乗客を降ろしたあと、白馬方面に向かうと思っていたが、七倉までの乗客が多いため、大型バス1台が全員七倉行きとのことで、寝過ごす心配もなくなった。やや遅れて出発し、間もなく消灯となったが、途中3回もトイレ休憩があり、睡眠不足の状態で七倉に到着した。予定通り3時45分の到着のため辺りは真っ暗だったが、7月会山行で来ているので、トイレの場所など勝手が分かり助かった。高瀬ダムまでのタクシーは5時30分にゲートが開かないと入れないが、ゲートの前で出発準備をし、歩いて高瀬ダムに向かう人達もいた。
5時過ぎにタクシー数台が上がってきて、大勢の客を乗り合いで乗せて行くため、一人700円で高瀬ダムに行くことができた。
ダムから30分ほどトンネルや河原を歩くと北アルプス3大急登と言われるブナ立尾根の登りが始まる。朝から日差しは強かったが、しばらくは樹林帯のため急登とは言え、強い日差しの稜線歩きに比べると楽だった。ブナ立尾根には取付きが10番から烏帽子小屋が0まで途中に番号がふられており、2208.5mの三角点が4番で半分を過ぎたことに安堵する。多くの登山者は小屋泊りらしく小さなザックで登っており、テント泊のザックではペースは上がらない。脱水に注意してこまめに経口補水液を飲む。途中ですれ違ったパーティは一昨日ヒョウに降られ、低体温症になると思ったとのこと、こんなに暑いのに山の天気はやはり怖いなと思う。
ようやく烏帽子小屋に到着。烏帽子岳の山頂は省略して先を急ぐ。あとは急登もなく楽しい稜線歩きと思っていたが、雲ひとつない青空、11時を過ぎ暑さもピークとなり、睡眠不足の体にはひどくこたえる。三ツ岳への登りで70歳過ぎと思われるご夫婦とすれ違う。昨日奥黒部ヒュッテを出て12時間かけて読売新道を登り、今朝水晶小屋を出てブナ立をこれから下るとのこと。赤牛岳を眺めながら楽しそうに話してくれる二人を見ていると、諦めかけた読売新道も行けそうな気がしてきた。ただ、ご主人からはザックが大きすぎるよと最後に指導を受けた。
読売新道を眺めながら野口五郎小屋に向かうが、いつまで経っても小屋は見えない。過去の記憶では烏帽子小屋から野口五郎小屋はすぐだったはずだが・・・。途中走ってきた烏帽子小屋で働く青年に追い越され、野口五郎小屋で用事を済ませて戻る彼と再び出会った時、あと1時間あれば着きますよ、と言われ愕然とした。それでもなんとか1時間かからず小屋にたどり着くことができた。
以前来たときは小屋の前がテント場で幕営できたが、テントが風で飛ばされるなど事故も多いことから国に返還したとのこと、今見ると大岩がゴロゴロしており、とてもテントを張れるような場所ではない。しばらく小屋の外でのんびりしながら、小屋の方や救助隊の方と話をしたが、やはり一昨日はこの辺り一帯でヒョウが降ったとのこと、小屋の周りの写真も見せてもらったが、地面が隠れるくらい積もっていた。
テントの装備を背負っているが、幕営禁止のため本日は慣れない小屋泊り。食糧、燃料の装備を減らそうと夕食付で予約しておいた。平日と言うこともあってか小屋は空いていて、女性部屋はもう一人の単独の女の子と二人きりでゆったりできた。睡眠不足を解消するため早々に寝る。

8月10日(土)晴れ
野口五郎小屋(4:30)-野口五郎岳(4:50~4:57)-真砂分岐(5:33)-東沢乗越(6:48)-水晶小屋(7:50~8:00)-ワリモ岳分岐(8:34)-ワリモ岳(8:57)-鷲羽岳(9:40~9:52)-三俣山荘(10:45~10:55)-三俣峠(11:40)-三俣蓮華岳(12:03~12:10)-双六岳(13:35~13:409-双六小屋(14:30)

今日は何とか双六まで行きたいと、薄暗い中出発。野口五郎岳では任務の写真を撮らなければならないが、ちょうど相部屋の女の子がおり、記念手ぬぐいとともに写してもらう。

野口五郎岳山頂

水晶小屋までは人も少なく槍や赤牛岳、昨年行った薬師岳、剣岳など眺めながら、北アルプスの中心にいることを実感する。昨年秋、湯俣の橋が流され竹村新道は通行止めとなっていたが、昨日野口五郎小屋の情報では、橋の修復で昨日から通行可能になったとのことで、竹村新道の分岐には特に何の記載もなかった。水晶小屋まで来るといっきに人が増えた。山頂を往復すると1時間かかるため、次回読売新道まで取っておくことにして先を急ぐ。以前来たときは鷲羽岳に登らず雲ノ平に向かったため、今回は必ず鷲羽のピークを踏まなければならない。暑さ厳しくなりピッチは上がらないが、ようやく山頂に立つことができた。

鷲羽岳

こんなにそそり立つ険しい山なのに野口五郎岳より0.1m低いなんて。山頂からは三俣山荘のテント場がよく見える。まだ10時なのにたくさんのテントが張られている。三俣山荘で水を補給し三俣蓮華岳の山頂を目指す。過去に双六小屋ベースで山スキーに2回来ているが、黒部源流を滑りベースに戻ってもそれほど時間はかからなかったと記憶しており、三俣蓮華の山頂から眺める双六はすぐそこ、と思い歩き始める。

三俣蓮華岳

しかし緩やかな稜線にもかかわらず、暑い、重い。やはりスキーの機動力はすごいな、双六に来るなら山スキーしかない、などと考えながら苦行に耐える。山頂への最後の登りでライチョウの親子に遭遇。人が多すぎるためか、今回の山行でライチョウを見たのはこの時1回だけだ。

双六岳

ようやく双六岳山頂に到着し、記念撮影を済ませると、テント場が混まないうちにと急いで下る。だいぶ足にも疲れが溜まり、途中のザレで滑って後ろに転んだ際、ストックがザックの下敷きになり途中で折れてしまった。締める位置をずらして使用は可能だったが、こんなに簡単に折れてしまうのかとちょっと残念。14時30分、双六小屋到着。広いテント場だが、すでにテントはいっぱい。なんとか隙間を見つけてテントを張る。その後も薄暗くなるまで続々と到着し、条件の悪そうなところにも張っている。野口五郎小屋では小屋の外で立山方面を向くとスマホが使えたが、双六小屋では全く使用できず、台風10号の位置が分からないが、昨日の台風情報からするとなんとか下山まで天気は持ちそうだ。

8月11日(日)晴れ
双六小屋(4:40)-樅沢岳(5:13~5:26)-硫黄乗越(5:57)-左股乗越(6:49)-千丈沢乗越(8:13~8:20)-槍ヶ岳山荘(9:30)-山頂往復(9:55~11:10)-槍ヶ岳山荘(11:20)-殺生ヒュッテ(11:49)-播隆窟(12:03~12:13)-天狗原分岐(13:00)-大曲(13:35)-ババ平(14:00~14:10)-槍沢ロッジ(14:39~14:45)-二ノ俣(15:05)-一ノ俣(15:13)-横尾(16:01)

風もない静かな夜だった。空には満天の星。槍の肩まで行けば今回の山行は終わったようなもの、あと一頑張りと今日も薄暗い中を出発。初めての西鎌尾根、ずっと槍を眺めながらの稜線歩き、徐々に槍が大きくなってくる。千丈沢乗越の手前に何ヶ所か鎖場があるが、特に危険な場所はない。ただ歩きなれない登山者が下りで石を落とす場面があり、人為的な落石には注意が必要だ。
千丈沢乗越からは飛騨沢がよく見える。以前春合宿で志木さんと二人、飛騨乗越までの急な登りを帰りは楽しく滑ったことを思い出す。緩やかな稜線歩きからいきなり急な登りが始まる。富士山の九合五勺からの登りのようにピッチが上がらない。コースタイムでは2時間となっているが、なんとか1時間10分で肩までたどり着くことができた。小屋の周りは大勢の人で西鎌尾根とは別世界。山頂まではまだ渋滞していないようなので、休憩もそこそこに山頂に向かう。槍の山頂はヘルメット着用推奨で強制ではない。ここだけのために持ってくるのも荷物になるので持参しなかったが、石を落とされても困るので小屋で500円支払ってレンタルのヘルメットを借りた。登り始めると渋滞が始まり、結局登って降りるのに50分かかったが、山頂は快晴で360度の展望を楽しむことができた。

槍ヶ岳

小屋にヘルメットを返しに行くと、槍ヶ岳山荘のテント場は本日満席と書かれていた。計画では本日殺生ヒュッテ幕営としていたが、時間的に早いためババ平まで降りることとして下山を開始。登ってくるテント泊と思われる人には、上はもう一杯ですよと声を掛けながら下った。殺生ヒュッテのテント場はまだ余裕があったが、幕営予定のババ平は幕営禁止と書かれている河原までぎっしりテントが張られており、あきらめて横尾を目指すこととする。この時間になってもまだ登ってくる人が多く、今日はどこまで行くのかと心配になってくる。槍沢ロッジの前もあふれるほど人がいて、ゆっくり休むこともできない。やっぱり夏は沢だな、とつぶやきながら横尾に向かうが、3日間の疲れが溜まってピッチが上がらない。16時横尾到着、長い1日だった。横尾のテント場も混んでいるが、それでもまだ双六やババ平に比べれば、まだまだ余裕がある。ここは登山者よりもキャンプ目的で来ている家族連れが多い印象で、幕営地と言うより水もトイレもビールも豊富なキャンプ場。最後の夜を楽しもうと思ったが、ひとりのテントはすることもなく、疲れも手伝って早々に寝てしまった。

8月12日(月)晴れ
横尾(5:00)-徳沢(5:55~6:05)-明神(6:48~6:55)-上高地(7:37)

上高地はすぐそこ、最後の歩きをのんびり楽しめば良いのに、なんだか早く帰りたくなって5時に出発。徳沢のテント場もにぎわっていた。まだ7時30分だというのに河童橋には多くの観光客や登山者がいた。

上高地

お風呂に入りたいが小梨平のお風呂はまだ営業しておらず、上高地温泉に向かったが、五千尺ロッジの入口に貼られた入浴案内では結構距離があるようだ。いちばん近いのがバスターミナル横にある上高地インフォメーションセンター内のコインシャワーだと分かりバスセンターに向かう。きれいな施設で朝早いこともあり誰もおらず快適。はじめに施設使用料100円を支払い、お湯は3分で100円。6分200円で4日間の汚れをきれいに落とすことができた。お土産を見る暇もなく新島々行きのバスに乗り帰路に就く。4日間好天に恵まれ、雨具を着ることもなく裏銀座を楽しむことができた。

(記 レー子)

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