カテゴリー別アーカイブ: アルパインクライミング

稲子岳(南壁)

期 日:2019年8月24日(土)
参加者:Lなべたけ、わたゆき、みの

8月24日(土)
みどり池入り口(8:30)-中山峠手前のロープが張ってあるところ(11:15)-左方カンテ取り付き(12:30)-終了点(15:30)-中山峠(16:45)-みどり池入り口(18:30)

9月に前穂北尾根にトライする計画があり、その事前トレーニング目的の山行。北尾根は標高が高いバリエーションルートなので、稲子岳(2380m)南壁は良いトレーニングになった。取り付きに向かうルートは、だいたい2ルートあるようだった。ひとつはみどり池、中山峠分岐を過ぎて南壁の正面から向かうルート。もうひとつは、中山峠近くまで登り南壁の基部付近をトラバースして取り付きへ向かうルート。今回はトラバースルートで取り付きへ。トラバースルートの入り口は、標札とロープがかかっていたので、分かりやすかった。

稲子岳南壁

取り付きから終了点まで、4~5ピッチほど。上部は、ガレ混じりの岩場だった。3ピッチ目だったか?、フォローで2番目に登っていたメンバーが大きな落石を起こしてしまった。落石のリスクが高かったので、フォローの同時登攀はせずに、3番手はビレイ点で待機するように声かけをしていたがそれが幸いした。色々なルート取りができそうだったが、いちばん弱点と思われるやさしそうなルート取りで、 最終ピッチは、岩壁を左へトラバース~小さなガリーを詰めて終了点へ。終了点からすぐに稲子岳~にゅうへ抜ける踏み跡に合流。踏み跡を辿って、中山峠直下100~200mほどの標札とロープがかかっていた箇所へ戻った。ビッグバンドに継続するために、ザックをデポして中山峠までひと登りをした。夕方の雰囲気の良いみどり池としらびそ小屋を通り過ぎて、下山した。

(記 なべたけ)

会山行 谷川岳周辺

東尾根3
山域 谷川岳周辺(一の倉沢衝立岩中央稜、東尾根、馬蹄形縦走、天神尾根)
日程 2017年10月7日(土)〜8日(日)
メンバー
(一の倉沢衝立岩中央稜)岳(L)、みの
(東尾根)のり(SL)、わたゆき、ふみ、なべたけ(L)
(馬蹄形縦走)こば(L)、しょうご
(天神尾根)会長(L)、会長夫人、ちじい、  さつき、仰平
10月会山行は、毎年恒例の谷川周辺。お天道さまとのタイミングが合って、4パーティーに分かれてまずまず充実の山行になりました。

東尾根シンセンのコル付近 紅葉最高でした!
東尾根シンセンのコル付近
紅葉最高でした!

シンセンのコル近く

東尾根隊のメンバー
東尾根隊のメンバー

 

登攀終了してテールリッジを下山するみのさん
登攀終了してテールリッジを下山するみのさん

 

なにかカッコイイ岳さん
なにかカッコイイ岳さん

 

大渋滞天神尾根
大渋滞の天神尾根

 

不死身の中年、こばさん
不死身の中年!こばさん

みなさま、おつかれ山でした!!

夏合宿A隊 剱岳

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山域:立山 剱岳・本峰南壁A2稜登攀、八ツ峰主稜(撤退)
メンバー:なべ岳(L、記録)、岳(気象、写真)、みの(装備)、のり(気象、写真) ※食料各自、会計担当なし

8月10日(木)
愛甲石田=相模原(22:00)=扇沢(2:00)無料駐車場にて幕営

1か月前、剣のことは、全く考えていなかった。
ここ1〜2か月は、深い釜やゴルジュを持つ沢に入っては泳ぎ、急流で渡渉訓練を繰り返し、上ノ廊下への気持ちを高めていた。
しかし、漠然とした不安感は経験の少ない4人のなかでずっと流れていて、準備を重ねると同時に、いつ撤退しなければならないか思案している状態も感じていた。
上ノ廊下は、沢登りへ向かう者にとって憧れの響きがあって気持ちが高ぶるが、そんな人間の気持ちなど簡単に勢いよく生死の淵に流してしまうところなのではと考えていた。(事前の情報では、森麻呂さんたちが7年前に遡行した記録を最も参考にした。)
とにかく、遡行の可否は、水量と天気によることは間違いないと考えていた。事前の情報収集のために、奥黒部ヒュッテに電話をしてみると(室堂山荘につながった)、直前に4日間は好天でないと水量は落ち着かないとのこと。しかし、夏季4日間全く降雨がないというのは現実的でないので、直前の降水量の問題だろう。今年は、雪渓が多いので水量が多い可能性もある。例年8月上旬に入渓したパーティーはほぼ撤退しているか強行した場合は遭難している、お盆の時期も半分以上は戻ってきて、行ったパーティーはよく遭難するという記録もあった。
様々な情報があるが、結局現地に行って自分たちがどう感じるか、それにつきるのではとも考えていた。
合宿3日前。台風5号が西日本に停滞。黒部も影響を受けているようだった。(気象庁のアメダスは1時間毎の数値データで参考にしやすかった。立山芦峅を参照した。)少なくとも合宿2日前までは、降水量が多い状況で、それ以降合宿期間中にかけても降雨の予報が出ていた。現地で判断をしたい気持ちもあったが、貴重な合宿期間であり、遠路のため交通費も度返しすることはできない・・・上ノ廊下を断念して、最終準備会で話し合っていた剣への変更を決定した。
上ノ廊下残念無念・・・だったが、メンバーのテンションは逆に上がっているようだった!
岳さん、のりさんにとっては、初剣。みのさん、なべたけも久しぶりに目指すことになった。
ルートは、八ツ峰主稜縦走、本峰AII稜に決まり、リーダー以下メンバーの気持ちは、上ノ廊下の時より晴れているような感じがしたのは気のせいか。

合宿前夜、お盆の連休前日で圏央道が渋滞しており、回避して相模湖ICから中央道へ。途中、八ヶ岳の麓の富士見町に転居した岳さんをピックアップして、扇沢へ。
扇沢の無料市営第2駐車場は、満車に近かったが(扇沢駅に近い方の無料駐車場は、翌朝に開放されていた)、車の後ろにテントのスペースを空けて駐車することができた。

8月11日(金) 曇り時々晴れ
扇沢駐車場(7:10)=(トロリーバス)=黒部ダム(8:15)〜内蔵助谷出合(9:35)〜内蔵助平(12:15)〜ハシゴ谷乗越(14:15)〜真砂沢ロッジ(16:15)幕営

黒部ダム
黒部ダム

 

黒部川を内蔵助平へ向かう
黒部川を内蔵助平へ向かう

 

内蔵助平
内蔵助平

合宿初日は、真砂沢まで明るいうちに着ければいいので、ゆっくりスタート。道中もゆっくりペースで進む。概ね曇っていたが、展望は良く、黒部の懐に入ってきていることを実感することができた。ハシゴ谷乗越の後、八ツ峰へ伸びる岩稜の威容に圧倒される。空を覆い尽くすような存在感。こんな山に本当に登れるのだろうかと感じた。
夕刻、剣沢に降り立つ。人気はなく、崩壊した雪渓の巨大な割れ目から聞こえる沢の爆音のほかは静かだが、ここが黒部のメインストリートだ。
10分ほどで、真砂沢ロッジに到着。テン場は20〜30張ほどのテントで賑わっていた。
テントを設営、早速ビールを購入して、乾杯。ロッジで明日予定している八ツ峰主稜の情報収集をする。取り付きになる、I・II峰のコルへの雪渓は崩壊していて、通行困難。熊の岩から上部の右俣、左俣の雪渓も崩壊が進んでいるとのこと。全装備を担いで主稜を縦走〜熊の岩は早々に諦めていた。天気は、朝6:00〜9:00の間に降雨があり、その後は落ち着くとの予報。Ⅵ峰から上部の縦走〜真砂沢ロッジに戻る行程の可能性を話し合い、明日に備えた。

8月12日(土) 雨時々曇り
真砂沢ロッジ(6:30)〜長次郎出合〜長次郎谷〜八ツ峰Ⅴ・Ⅵのコル(10:00)〜
長次郎谷〜長次郎出合〜平蔵谷出合〜真砂沢ロッジ(13:00)幕営

4:00起床。6:30真砂沢を出発。すでに、多くのパーティーが行動を開始している雰囲気だった。夜間は、雨は降らなかったようだ。
長次郎谷の出合に着く前から、降雨が始まる。岳さんは、出発時からレインパンツを装着していた。長次郎谷の出合で、みのさんがワークマンで購入したという雨具(パンツ)をハーネスを外してから装着する。撥水力が抜群で、透湿性もそれなりにあり、ジャケットは鮮やかな赤色の配色でかっこよかった。上ノ廊下用に購入したらしい。のりさんとなべたけは、雨は9:00までとの予報を信じてレインパンツは履かず、雨が止めば服はすぐ乾くと思いながら行動を続けた。

剣沢から長次郎谷へ向かう
剣沢から長次郎谷へ向かう

長次郎谷は、熊の岩の至近まで特別な問題なく雪渓を登ることができたが、ところどころで雪渓が爆音とともに崩れ落ちていた。Ⅰ・Ⅱのコルへの雪渓は情報通り大きく崩壊しており、とても近づける状態ではなかった。熊の岩の上部、右俣、左俣を見渡せたが、どちらもクレバスが目立っていて、やはり通行にはかなり困難があるようだった。長次郎谷には、10パーティー以上入っているようだったが、コンディション不良で下山してくるパーティーも見られる。
10:00、Ⅴ・Ⅵのコルに到着。長次郎谷からコルへの雪渓は半分以上なくなっていて、ガレ場通しで登ることができた。
降雨は続いて、岩は濡れそぼっていた。先行の2人パーティーが、ロープを出してⅥ峰の下半部に取り付いていた。登山体系の記述によると、Ⅵ峰の登りは見た目よりやさしいとあるが・・・、このコンデションの中、たどるべきルートは見当たらない。もし、ロープを出して登るとすると、私たち4人では相当に時間がかかることもあり、撤退を決めた。

Ⅴ・Ⅵのコルへ
Ⅴ・Ⅵのコルへ

 

撤退!
撤退!

AⅡ稜に備えて、平蔵谷を偵察して真砂沢に戻った。平蔵谷は、長次郎と比べると、傾斜がやや強いようだったが、それほどではない。しかし、上部はガスに隠れて見渡せなかった。
真砂沢に戻ると、雨は上がり、青空が覗くようになった。午前中の天候で、多くのパーティーが予定を切り上げて戻ってきているようだった。
夕刻になって、私たちの前でⅥ峰に取り付いていた2人パーティーが無事に戻ってきた。岳さんが話に行くと、登らないで正解だと言われたとのこと・・・。
なべたけは、寝不足が影響しているのか調子が悪く、午後の大半をテントで寝て過ごした。
他のメンバーも明日に備えて、19:00には就寝。

8月13日(日) 晴れ
真砂沢ロッジ(5:05)〜平蔵谷出合(6:30)〜AⅡ稜取り付き(9:15)〜登攀開始
(10:55)〜剱岳山頂(14:50)〜池ノ谷乗越(?)〜剱岳山頂〜平蔵のコル〜平蔵谷〜真砂沢ロッジ(19:20)幕営

3:30起床。5:00すぎに真砂沢ロッジを出発。昨日は雨の中、少し陰鬱な気持ちで登った長次郎谷を横目に、平蔵谷の出合へ向かう。雲の向こうに青空が広がってきていた。

平蔵谷
平蔵谷

平蔵谷の出合から平蔵のコルまで、岩の神殿に囲まれた広大な白い廊下が伸びていた。出合に聳え立つ源次郎側の岩壁は、現実感がないにもほどがあった。あまりにも巨大で、コルまでの距離感がつかめない。雪渓の上には、おそらく源次郎側の岩壁からのものなのだろう、冷蔵庫大の巨石がゴロゴロしていた。いつ落ちてきたものなのか・・・。まさに岩と雪の殿堂。青空の配色と、日が昇り、光と影が際立っていくとさらに荘厳さ、美しさが増していく。滑落すれば、出合までノンストップのような平蔵谷の斜面。クレバスの横のスノーブリッジのようになっている箇所を通過した。一歩一歩緊張しながら登っていくが、自然の極致の美しさに囲まれ、一つ間違えれば死が待ち構えている瞬間にしっかりと生に踏みとどまっているこの時こそ、私たちが山に求めているものなのかもしれなかった。(ちょっと大げさ・・・?)
岳さんは、急しつらえのアイゼンがアプローチシューズにやや合わないため、前爪が靴の先端から少ししか出ていない状態で、前爪を利かすことがほとんどできない。
なべたけは、沢用の(ピック・石突きが付いている)ハンマーだけを持参したため、急斜面で心もとなく、のりさんにストックを借りて登った。
(岳さんちゃんとアドバイスできず、すみません・・・。雪渓を少し甘くみていました・・・。)
急の変更があり、少し準備不足は否めないが、補って余りある剣のロケーション!!

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AⅡ稜に数パーティーが取り付いているのが見える
AⅡ稜に数パーティーが取り付いているのが見える

1時間半ほど平蔵谷を登ると、雪渓の中央にインゼル状に岩が露出した箇所があり、そこで小休止。南壁が大分近づいており、ルートを判別するが、手がかりが登山体系のシンプルなルート図だけで、AⅡ稜がどこか判然としない。南壁に近づくと、いちばん右側の伸長なリッジに取り付いているパーティーが見えた。そのリッジから数100m平蔵のコルよりに他のパーティーの一団も見えてきた。山頂からほぼ真下に位置しているようで、そちらに私たちも向かった。先行パーティーに声をかけるとAⅡ稜であると教えてくれた。ルンゼからの落石に気をつけながら、取り付き近くの快適なテラスに移動する。長い順番待ちになりそうだったが、強い日差しだけが気になるだけで、なんにも不満はなかった。一応、隣のAⅠ稜の偵察に行ってみたが、雪渓に阻まれて取り付きまでいくのにも苦労しそうだった。
時間もたっぷりあり、不安は先行パーティーからの落石くらいだった。日が上がるにつれて雲が多くなってきたが、急激に悪くなりそうな様子はなかった。
岳さんのりさん、みのさんなべたけペアで、登攀開始。のりさんはすでにかなり充実している様子で、なにか輝いているようだった。1人アプローチシューズを履いて、1ピッチ目リードでスタートした。

小町さん、岳さんのりさんペアの後ろからリード
岳さんのりさんペアの後ろから、小町さんリード

 

岳さんロープをスカイラインへ伸ばす
岳さんロープをスカイラインへ伸ばす

だいたいⅢ級〜Ⅲ級(+)の岩稜帯を4〜5ピッチで登る。小町さんは、2ピッチ本チャン初リード。ルート上は、心許ない錆だらけのハーケンが無数に残置されていた。信頼性はほとんどないが、ロープを伸ばすのに苦労はなかった。カムを各パーティー2〜3サイズ持参したが、もう少し持ってくれば良かった。その後の山頂直下は、ガレ場を頂上に向かうが悪いところはほとんど無かった。
15:00前に山頂到着。AⅠ稜を上がってきたというパーティーと挨拶を交わした。IMG_20170813_145623_xlarge
北方稜線へは、この先危険、立ち入り禁止の看板、「✖️」マークが岩についていたりするが、稜線ははっきり見えているので注意をしながら、長次郎の頭を目指した。北方稜線を上がってくるパーティーも多い。八ツ峰を縦走してきたらしい老若男女に次々と出会った。長次郎谷の左俣から下降する算段だったが、結局、行く手をクレバスと装備不足の不安に阻まれてしまった。登り返しをして再度山頂を踏み、平蔵谷から下降した。
この日私たちが、真砂沢に戻ってきた最後のパーティーになっただろうか、なんとかビールを購入することができる時間に戻ってくることができた。
今日の成功を、握手を交わして分かち合った。

8月14日(月) 晴れ
真砂沢ロッジ(7:00)〜ハシゴ谷乗越〜内蔵助平〜内蔵助谷出合〜黒部ダム(14:30)=(トロリーバス)=扇沢=帰宅

ゆっくり起床、ゆっくり帰路に着いた。なべたけは、9年前は、八ツ峰Ⅵ峰の事故があり室堂経由で下山していたので、少し感慨があった。
内蔵助平で、沢に浸かって3日間の汗を流した。しかし、1分も浸かっていられないほどの沢の冷たさだった。上ノ廊下はどうなのだろう・・・と思いを馳せた。
14:30黒部ダムに到着。
トロリーバスの乗り場は、お盆の観光の人気でごった返していたが、エアコンで涼しく、天井のモニターで甲子園を見ながらで、苦にならなかった。30分ほどの待ち時間で、バスに乗り込めた。
薬師の湯でさっぱりして、信濃大町駅に移動。昭和軒は、大変混雑していたので、駅前の豚のさんぽというお店でラーメンをいただいた。店を出ると20人くらい並んでいたので、タイミングが良かった。
帰りの高速道路も、お盆の中日のためかほとんど渋滞はなく、途中、富士見町で岳さんが下車、残りの3人も順調に神奈川へ帰ってくることができた。

八ヶ岳 阿弥陀岳 南稜

【日時】2017年3月25日
【天候】晴れ
【メンバー】岳(L)、コバさん、みのさん
【行程】
25日 舟山十字路~立場岳~P1~P2~P3~阿弥陀岳~御小屋尾根~舟山十字路

【報告】
“行きはよいよい帰りは怖い”下山路には、特に登頂後の下山路にはどこの山でも魔物が棲んでいる。
阿弥陀岳から御小屋尾根への下り坂、樹林帯の手前でスリップし怪我をするアクシデントが発生してしまった。
応急処置もチームワークも大切だが、15時間を越える行動時間をこなして自力下山を果した受傷者の頑張りが圧巻だった。

自分は先週に引き続き2週連続で雪山バリエーションルートに参加させてもらえとても嬉しい。
前日にアイゼンとアックスをヤスリで尖らせ、雪壁に打ち込むイメージトレーニングをする。

岳デリカ号で早朝に相模原を出発し、舟山十字路に駐車し6:25行動開始する。
尾根の取り付きは急斜面なので早々にアイゼン装着しコバさん先導する。

立場岳を越えた先の小ピークで行動ルートを観察する。

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立場岳山頂の先で、阿弥陀岳南側の全容が姿を現した。

 

午前中のP1通過が確実なこと、また天候面と体力面にも懸念がないことからP1P2コルでの幕営を止める判断をし、ここで登攀装備を装着する。

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青ナギを越え、無名峰に向かう。

 

時々雪を踏み抜きながらP1、P2と進みP3基部を巻いて予定のガリーに到着する。
ここでロープを出して岳さんがリードする。
合図を受けて自分がプルージックでセカンドする、所々氷結したやや柔らかい雪の斜面でアックスがとても頼りになる、教えを思い出して息が上がらないようにペース配分する、半ばからコバさんも登りだす。

2ピッチ目も岳さんリードする、中間ビレイを取り、草付きに進みほぼロープ一杯まで登る、合図を受けて自分とコバさんも後に続く。
もう一登りして稜線に出てロープを仕舞い休憩する。

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P3を越えP4へ。

 

すぐそこに見える頂上目指して稜線を進む、雪の斜面を登り、現れた上昇バンドを辿ってジェードルとカンテを幾つか越え、再度雪の斜面を登って頂上に到着する、近くに見えたが40分程度所要した。

3人パーティーが休憩している、北稜ルートを登って来たそうだ、楽しげに盛り上がっている。

権現岳、赤岳、横岳に穏やかに見守られながら暫し休憩し下山開始する。
稜線を辿り鋭いナイフリッジを慎重に歩く。
その先は広い雪の斜面となり所々フィックスロープがある。

アクシデントが発生した場所は、先行者が尻セードでもしたのか滑り台状の溝になった雪面で、見るからに手強い。
1月に富士山5合目で受けた雪山講習を思い出し、踵のキックに力を込めて通過する。

ややして物音に振り返ると、コバさんが頭を下にして仰向けになってしまっている、曲げた左ひざの裏と靴のつま先が別々の立ち木にひっかかったており簡単には抜け出せない、膝の曲げ方にも無理があり膝周辺の靱帯損傷が案じられる、これは大変だ。
ザックを外せないとの事なので雪の斜面を登り返してウエストバンドのバックルを外す、ザックから腕を抜くとザックは滑り落ち岳さんがキャッチする。
コバさんの背中を押して起き上がってもらい、木にからまった足を抜いて普通に座りなおす。
左足より右足がヤバイ、痺れていると話す、見るとスパッツ越しに脛が曲がって見える。
岳さんも到着して応急処置を宣言する、指示事項は添木2本と三角巾での右脛固定と松葉杖の組立だ、急いで材料を探す、3段継ストックの2段目とスコップの延長シャフトを添木に選び三角巾2枚で固定する。
ストック2本の一方の先端をスノーリングに通して、グリップ部をスコップのグリップシャフトで繫いで三角形な松葉杖の形にして針金とバンドで各部を固定する。

応急処置が済み、救助を呼ぶか相談する。
20mくらい登り返せば立ち木も無くヘリコプターで吊り上げてもらえるかもしれない、反対に20mくらい下ると樹林帯なので救助を求めても自力で下山して下さいと指示されそうだ。
自分と岳さんは骨折を疑い救急治療を薦めるがコバさん嫌がり、ちょっと待てば歩けるようになると主張する。
暫くしてコバさん空身で下りを試みる、歩けるそうなので岳さん自力下山を判断する、会長に電話して一報をいれる。
コバさんのザックはそれ程重くないのでとりあえず右肩で背負い少し下るが不安定だ、岳さんが中身を出して2人のザックに詰め替えようと指示する、これは名案。

しぼんだザックをコバさんが背負ってしまう、無理して欲しくないがタフ振りを発揮する。
何度か休憩をとり、またガスで雪を溶かして飲み水確保したりして、ヘッドライトを頼りに5時間弱かけて舟山十字路に下山した。
コバさん靴を脱ぎ患部を見る、腫れてはいるが内出血はしていない模様でややほっとする、10時頃帰路に着き深夜に相模原に着く。

翌日は寒く平野部は雨、山間部は雪、強行軍だったが日帰りに計画変更して正解だった。
(みのさん記)

 

 

 

リーダーとしての反省点
・計画の時間配分。12時頃にテン場に着く時間配分のためその日のうちに行ける気になってしまう。
翌日早朝に動き出したかったためそうしたが、平日の疲れがある場合はもう少し遅い到着の計画でも良かったのかもしれない。

・後から思えば、日帰りで充分に行ける体力と技術は持っていたメンバーだった。
駐車場で先に入っているパーティーが少ないことがわかったのだから、荷物の軽い日帰り装備を選択してもよかった。
(※とはいえ南稜初体験、バリエーションリーダー2回目の自分にはその判断は中々できなかったように思う)

・頂上でも仕切りにテント泊したがっていたので、実はけっこう疲労困憊していたのかもしれない。
それを察せられなかった。

・P4の登りはロープを出すべきだったかもしれない。P3で時間がかかったため、時間短縮でロープを出さなかったことが疲労を増したか?

・初期判断で僕らも気が動転して脛に異常があると考えてしまった。実際は足首。最初の処置がそもそも違った。

・途中で痛いのは足首だと聞いて、足首固定を三角巾でしたつもりになっていたが、帰宅後、確かめてみたら結び方間違ってた。。。
こばさんゴメンナサイ。。。
(三角巾固定の意味なし。6月の救助訓練ではロープワークや救助法だけでなく三角巾の使い方も定期的に復習する必要を感じた。)

・木曜日に22時に帰宅するとこばさんが言っていたにも関わらず、その疲れを察することができず集合時間を午前3時半から変更しなかった。
もっと休養をとってから行った方が良かったのかもしれない。
(※とはいえ天気が夕方から悪くなるという予報だったためその判断も難しかったように思う。)

(岳記)

2月会山行 南八ヶ岳

赤岳
ジョーゴ沢

日 2017年2月18日(土)〜19日(日)
メンバー
赤岳(文三郎道往復)sobeさん(SL)、yujiさん、minoさん
阿弥陀岳北稜 gakuさん(SL)、kobさん
ジョーゴ沢 navetake(CL)、morimaroさん、kawamasaさん、noriちゃん、

総勢9名少しムサ苦しい??面子で、南八ヶ岳に登ってまいりました。

1日目は、朝出で美濃戸〜行者小屋まで。
前夜の鉱泉日誌で林道の凍結情報が上がっていたので、大事をとってバス停駐車場に駐車。
9:00すぎ到着だったがすでに7〜8割ほど埋まってました。
林道入口にJ&Nというお洒落な感じのお店ができて、より楽しい雰囲気になってますね〜。
赤岳山荘まで1時間。赤岳山荘の駐車場もけっこう車で埋まってました・・・。

南沢の途中、南沢小滝でnoriちゃんにTRを張ってもらい遊んだ後、行者小屋へ。
いつものようにクライミングに夢中になってしまい、行者小屋に到着した時はすっかり日が暮れ、
先に幕営していてくれたsobeさんたちからは「おそい〜!」と、お叱りを受けました・・・。
いつもスミマセン。。。

南沢小滝

2日目は、赤岳、阿弥陀北稜、ジョーゴ沢の3隊に分かれて行動。
夜間、およそ5〜10cmほどの積雪がありましたが、3ルートとも行動に支障はなし。
好天で、展望は最高。空は八ヶ岳ブルー。
朝方稜線は雪煙を上げていたが、その後はまずまず小康状態でした。

文三郎道は、阿弥陀との分岐に出た箇所で強風にあおられたそうだが、それ以外は特に問題がなかったそうです。

バリエーション日和で、北稜は4パーティー待ち。(1時間待ちで、寒さに耐えられず撤退したくなったらしい。)ジョーゴ沢も7〜8パーティー、20人くらいは入っていて賑わっていました。
前夜の積雪のためか、裏同心へのトレースは見当たりませんでした・・・む〜ん。

とにもかくにも、全員無事の下山、感謝であります!

みなさま、ありがとうございました。
2月会山行
おつかれ山でした〜!!

横岳~硫黄岳

期 日:2017年1月7日(土)
参加者:Lなべたけ、ガク

1月7日(土)
相模原(2:00)=美濃戸山荘駐車場(5:25)-赤岳鉱泉(7:10)-大同心沢-大同心基部(10:15)-小同心クラック取付(11:00)-横岳奥の院(15:20)-硫黄岳(16:10)-赤岳鉱泉(17:15)-美濃戸山荘駐車場(19:00)

ガクさん初めて、なべたけ3回目の小同心クラック。お天気終日心配なく、快適な登攀だった。ただ積雪が非常?異常?に少ない状況は前年から続いているようである。この日たまたま一緒に八ヶ岳に入ったガクさんの講習会仲間の方の話によると、年末年始はベルグラが発達しており阿弥陀北稜の1P目は登れなかったとのこと。もし同様な状況にあった場合、対応できるかと不安だったが、それも全くの杞憂だった。風も比較的穏やかで、八ヶ岳の突き刺さされるような寒さを多少は期待?していたので、残念なところもあったか・・・。

ガクさん1P目、3P目リード。なべたけは核心部のチムニー登攀を避けたわけではないが、チムニーに回り込まず1P目終了点のピナクル上部から直上している。

小同心
横岳から硫黄岳へ

ガクさん、チムニーは今度リードで登ってください。

(記 なべたけ)

谷川岳 一ノ倉沢 南稜

【日程】7/23(土)

【メンバー】navetake,yamaken,gaku(CL)

22日(金)22時30分 yamaken宅を出発。
土合駅着は24時過ぎだったか、3パーティー程が先に休んでいた。
噂通り待合室は閉鎖されている。
我々も早々にシュラフを広げ休む。

3時土合駅を出発。慰霊碑そばの町営駐車場は閉鎖されていた。
ベースプラザに駐車し、一ノ倉沢への歩みを進める。
小雨だったように思う。

計画書を持ってくるのを忘れ、登山センターの備え付けの紙に記載し提出。
(後で会長宅にお叱りのお電話を頂いたそうです。関係各所の皆様、大変、申し訳ございませんでした。)

一ノ倉沢へ向かう。
出合いに到着する、テントは一張もない。
空は白みはじめているが完全に雲の中、一ノ倉沢も霧に隠れて全く見えない。

このまま撤退するのも残念なので、トイレの屋根で雨をしのぎ、しばらく天気の様子を見る。

男女二人組のパーティーが通り過ぎていった。
「おぅ、マジで行くのか」
すぐ戻ってきた、話しかけると今日は撤退するとのこと、なぜかホッとする。

欧米人の二人組が来た。
1人はTシャツ、短パン、強そうだ。
もう一人はニューバランスのスニーカーに黒のスリムジーンズ。
聞くと変形チムニーにトライするそうだ。欧米人の感覚にビビる。
なんの迷いもなく2人は一ノ倉沢に入っていった。

僕等はまだ行く気にはなれない。
少しづつ視界がよくなっていく。
一ノ倉沢の出合いとトイレの前を何度も往復する。

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悩み話あうnavetakeさんとgaku。

 

とりあえず、テールリッジ取付、南稜テラスを撤退の判断ポイントと決め進むことにした。
雪渓は皆無。

ひょんぐりの滝近くの下降地点に来ると先の欧米人パーティーがいた。
意外に遅い。欧米人パーティーを追うように僕等も懸垂下降する。
3人パーティーなのでやはり時間がかかる。

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ボロボロの残置ロープで下降する欧米人パーティ。

 

テールリッジ取り付き少し上で欧米人パーティーが手こずって何やら叫んでいる。
やはりスニーカーはさすがの欧米人でも無理があるようだ。

僕等はスタスタと追い越して行く。
僕が先頭を行く。
yamakenさんがすぐ後を着いてくる、なぜかプレッシャーを感じて、息が荒くなる。
ロープが重いのか、アプローチシューズが摩耗してフリクションが効かないのか、ペースが上がらない。
navetakeさんにトップを時々変わってもらう。
リーダーとしては情けないことだ。。。

今度買うアプローチシューズは岩場以外では履かないようにしよう。
本チャンで役立たずでは意味がない。

テールリッジも終わりを迎え、中央稜取り付きに。昨年よりは濡れていないように思える。
南稜テラスまでトラバースすることにした。
相変わらずの草付きの嫌らしさ。滑り落ちたらどこまで行くのだろう。

南稜テラスまで来た。

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南稜テラスから烏帽子スラブ。

ここは昨年より濡れているように思えた。
正直な所少しも登りたくなかった。
しばらく逡巡する。

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これ登る天気じゃないっしょ・・・。

 

振り返って南稜を見上げると、なぜか、登りたくなって来た。

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南稜テラスから南稜を見上げる。

行こう。yamakenさんにも南稜を経験してもらおう。
navetakeさんという心強い大先輩もいる。
少しぐらい濡れていても登れるだろう。昨年も登れてるし。

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行ってきまーす!

 

1ピッチ目、フェース Ⅳ-。
僕リード。
ビシャビシャだ。
昨年よりもすごく悪く感じる。
足が特に良くない。
がまぁ問題なく登る。

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やったるでー。

 

2ピッチ目チムニー Ⅳ- 僕リード
昨年は濡れているこんなとこリードで登れる気がしなかった。
でもきちんと登れた意外と楽しめたように思う。

3ピッチ目フェース Ⅲ+ 僕リード
ムーブ的には単純ですが、
意外と足場が濡れてヌメリがなんともいやらしかった。
沢靴持ってきたかった。

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すいすい登るyamakenさん。登攀力は全く問題なし!

 

4ピッチ目草付 Ⅰ〜Ⅱ 僕リード
特に問題なく登る。
navetakeさんからそろそろリードしたいバイブレーションがロープづたいに伝わってくる

5ピッチ目フェースからリッジ Ⅲ navetakeさんリード
6ピッチ目馬の背リッジ Ⅳ- navetakeさんリード
navetakeさんがぐいぐい登る。
昨年は1ピッチ切ったところもそのまま行った。
フォローは楽だー。
丁度、日が出てきて岩も乾いてきて、高度感のあるリッジを楽しんで登攀した。

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多分、滝沢方面。

 

7ピッチ目 フェース Ⅳ 僕リード

昨年は疲れきって登れなかったピッチ。
今年はトライ。
それなりの緊張感はあったし、時間もかかったように思うが、問題なく登れた。
純粋に嬉しい。

下には6人位の男女混成2パーティーがいた。

6ルンゼの下降用支点が3m程奥にあった。
支点を僕から下降する。
昨年はハーケンがぐらぐらで気持ち悪かったが、
今年は新しいボルトが打たれており安心して降りれた。

4ピッチ目草付きの終了点から下には他パーティーもいなかったため南稜を下降。
なんとか南稜テラスまでたどり着くが懸垂の時間がかかり過ぎだ。
少しじれったい。

ここからテールリッジ下降点までトラバースするが、
濡れていてかなり状態が良くないため、ロープを2回程出した。

テールリッジの下降では昨年はアプローチシューズが新品だったためフリクションばっちりだったのだが、
今回は随分摩耗してしまったらしく、滑って恐ろしく、中々前の2人に追いつけなかった。
テールリッジ途中の岩場ではプルージックでFIXロープに確保しながら降りていった。

ひょんぐりの滝を越えて沢に降りるともう一パーティと出会った。
中央稜を登る予定が違うルートに取り付いて苦労したそうだ。

結局ベースプラザに着いたのは20時50分頃。
18時間の行動時間となった。
南稜でこんなに時間がかかっていたら、他のルートでの時間が思いやられる。
もっともっと一つ一つの行動を素早く行うようにしなければいけない。

もっともっと経験積んで修行せねば!

谷川岳一ノ倉沢

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【日程】平成27年7月19日(日)
【メンバー】gaku、なべたけ(L)
【行程】一ノ倉沢出合3:30頃~テールリッジ~凹状岩壁取り付き5:10頃~南稜登攣開始6:00~最終ピッチ基部9:15頃~6ルンゼ懸垂下降~本谷バンド11:30頃~南稜テラス12:10~12:30頃~テールリッジ~一ノ倉沢出合14:20
【行動記録】台風11号の影響を受けて、前日、前々日に降雨があり、特に前々日は豪雨があったようだ。
日程をずらして、凹状岩壁ルートを狙ったが、取り付きは染みだしのために全面的に濡れており、早々に戦意喪失してしまった。
南稜に転身したが、ルートの70~80%が濡れている状態で、一ノ倉のルートを初めて登るgakuさんは苦労されたと思う。(昨年は、凹状岩壁取り付きまで。)
最終ピッチは、やはりまるで降雨直後のような感じで濡れてしまっており、ふたりとも登攣意欲は上がらず。最終ピッチ基部から6ルンゼを懸垂下降することにした。
5~6ピッチほどで、本谷バンドまでおり、本谷バンドからもロープをだして南稜テラスへ上がる。
本谷バンドに下りて2ルンゼを間近に見たのは、初めてだった。ここから国境稜線まで抜けるには、私たちにとっては結構な長旅になることだろう。国境稜線が遥か遠くに感じられた。

赤岳東稜

2月の会山行で登れなかった、赤岳東稜に、モリマロさん、ガクさん、なべたけの3人で再挑戦しました。
落ち着いた天候で、無事に完登しております。
山は、動かずに待っていてくれるので、粘り強く、
「登っていいよ」という山の声に耳を澄ましていくことなのだろうなと、あらためて思いました。

阿弥陀岳南稜

 

img20150301_104148なべたけです。2月28日(土)、阿弥陀岳南稜に行ってきました。

相模acのダー山さんとご一緒させて頂きました。

6:15舟山十字路~11:50阿弥陀岳~14:40舟山十字路の日帰りで、行程中は快晴無風でした。ちかれました~。

トレースは、ほとんど残されていて快適でしたが、樹林帯で全くなくなっている箇所があり、風によるものだと思いますが、自然の力をあらためて感じさせられます。

P3ガリーは、氷結は一部のみで、ロープを出さずに登っています。

真新しいロープが2ピッチフィックスされていました。

先日の遭難事故の際、救助活動で使用したものかもしれません。

山頂近くで、静かに黙祷をしました。