カテゴリー別アーカイブ: 無雪期ピークハント・縦走

会山行 赤岳(真教寺尾根)~清里駅

期 日:2019年10月5日(土)~10月6日(日)
参加者:Lそうべぇ、SLレー子、コバヤン、みの、オヨシ、ヒー、かじさか、たによし、こー平、いずっこ

50周年記念登山も大詰めを迎えた。チーフリーダが八ヶ岳エリアの硫黄岳から赤岳・編笠山までをつなぎ、残すところは赤岳から清里駅となった。冬が来る前に記念山行はすべて終わらせる目標を持っていた。そして秋が深くなる前に主だった山々を踏破できることで肩の荷を一つ下すことができた。残すは、伊勢原から大磯海岸までの行程。日本海と太平洋を海水により繋ぎ合わせるのみとなる。また、今回の山行はなかなか顔を合わすことができなかったメンバーの参加や10月に誕生日を迎えるメンバー、そして還暦を迎えるメンバーなどのちょっとした記念パーティ的な意味合いも含み賑やかな山行となるだろうと期待した。今回も複数パーティに分け、赤岳頂上から清里駅に向かうパーティと美濃戸山荘に戻り車を回収するパーティに分け行動した。

10月5日(土)晴れ
美濃戸山荘前駐車場(9:35)-行者小屋(11:50)幕営
プラス阿弥陀岳往復:Lオヨシ、こー平、いずっこ

横浜線橋本駅に6時30分集合し、美濃戸山荘前駐車場を目指した。美濃戸口の駐車場がほぼ満杯だったので、美濃戸山荘前駐車場も満杯であろうと想像し美濃戸口での駐車場所を探したが無駄だった。あきらめ計画通り美濃戸山荘に向かうと車のキー預かりを条件に車を止めることができた。かじさかさんとたによしさんはパーティ用のケーキをピックアップするため橋本出発を遅らせ、行者小屋で合流することとした。
天気は晴れ、気分も上々だ。この時期に八ヶ岳に入るのは何年ぶりだろうか、久しぶりである。もしかして私は会山行として入ったことはないと思う。冬のトレーニング山行として赤岳や天狗岳には毎年のように来ている。雪のない八ヶ岳もまたいいものだ。行者小屋までの行程はアップダウンもそれほどなく比較的歩きやすく、2時間30分ほどだ。ひと汗かき程よい気持ちになった12時前に行者小屋に到着した。小屋前の広場では多くの登山客が思い思いに休憩をし、また宿泊客と思われる登山者は八ヶ岳連峰を眺めていた。飽きることのない景色だ。テントも多く張られており、私たちは大型テント2張りなので、張る場所を探すのに苦労した。張った場所は小屋前の通り道沿い、張れることは小屋の従業員に確認をしておいた。なかなかいい場所である。設営後、オヨシをリーダーとしてこー平、いずっこの3人で阿弥陀岳往復隊を結成し向かった。若いメンバーなので、行者小屋までの行程では物足りないのか、元気よく出かけて行った。残るメンバーは山を見ながらの生ビールタイムを満喫した。オヨシたちが戻ってからはレー子さんとたによしさんの還暦祝いとかじさかさん、そうべぇの誕生日祝いを開催。

行者小屋にて誕生パーティー!
誕生日ケーキ

還暦衣装に身を包みケーキを持って祝福された2人は、行者小屋周辺にいた大勢の登山客からも盛大な拍手をいただきパーティに花を咲かせた。これは、ちょっと恥ずかしかった。

10月6日(日)曇り時々晴れ
行者小屋(5:55)-赤岳山頂-(地蔵尾根)-行者小屋(8:55)-美濃戸山荘前駐車場(9:55)=清里駅(11:00)

この日は3パーティに分かれ行動した。みのさん、かじさかさん、たによしさんは行者小屋から美濃戸山荘前駐車場に直接下りコバヤンの車をピックアップし、たによしさんの車と2台で清里駅に向かった。途中で温泉に立ち寄りのんびりと体を休めたようだ。11時にそうべぇが清里駅に到着し合流した。その後、コバヤンの車を清里駅前に駐車し、かじさかさん、たによしさん、みのさんはたによしさんの車に乗り帰路についた。みのさんは小淵沢駅で下車し、電車にて仕事が待つ滋賀に帰っていった。
行者小屋を全員で5時55分に出発。テントなどの共同装備の一部はみのさんが預かりかじさか、たによしさんとともに美濃戸に下山した。ほかのメンバーは赤岳に向かった。赤岳山頂で記念写真をとり、その後2隊に分かれ、そうべぇ単独で地蔵尾根経由で行者小屋から美濃戸山荘前駐車場へと向かった。この日もいい天気で気持ちがいい。赤岳山頂は多くの登山客であふれ展望を楽しんでいた。レー子さんをリーダーとする真教寺尾根を清里駅につなぐ隊と別れ地蔵尾根へと向かった。景色を楽しみながら地蔵尾根を下り行者小屋へと到着。小屋にデポしていた荷物を持って、美濃戸山荘前駐車場へと下った。そうべぇの車を回収し清里駅へと向かう。途中かじさかさんに到着時刻を知らせるため電話をしたところ、立ち寄り湯から出るところだという。「そうべぇも来ますか」とのお誘いだったが、すでに車はその場所を通りすぎていた。清里駅近くで待ち合わせをすることにした。11時に無事合流できた。真教寺尾根隊の下山時刻が分からず、みのさんの帰宅時刻も気になることから、真教寺尾根隊の下山を待たずに帰宅してもらうことにした。
夏を思わせるような日差しの中、清里駅のベンチでのんびりとしていたところこー平からLINE連絡が入った。30分ほどで清里駅に到着の距離だ。ソフトクリームのお店を見つけといてくださいとの要望があったので探すことにした。その昔ならばどのお店にしようかと迷うほどお店があったと思うが、今ではソフトクリームを販売しているお店は1件のみ、探すほどでもなかった。時代の移り変わりを感じる。寂しいと思うより、静かな風景、もとに戻ったなとの印象を受ける。真教寺尾根隊と無事合流し、みんなでソフトクリームに舌鼓をうった。

(記 そうべぇ)

10月6日(日)曇り時々晴れ
真教寺尾根隊 Lレー子、コバヤン、オヨシ、ヒー、こー平、いずっこ
行者小屋(6:00)-文三郎尾根-赤岳山頂(7:30)-真行寺尾根-牛首山(10:05)-賽ノ河原(10:53)-美し森(11:52)-清里駅(12:35)

前日美濃戸山荘から行者小屋まで入る。今回の山行は赤岳と清里駅を繋ぐことが最大の目的だが、昨日は行者小屋でのんびりし、久しぶりにたによしさんも参加して、たによしさん・レー子の還暦祝いもしてもらう。行者から下山するメンバーにテントなどの共同装備を託し、文三郎経由で赤岳に向かう。紅葉時期のため人が多く、鎖場は順番待ちとなる。赤岳山頂も写真を撮る人であふれている。

赤岳山頂

なんとか50周年手ぬぐいを出して記念写真を撮ると、座間市在住と言う女性から声を掛けられる。山岳会を探しているが、暁はガチな山岳会だから入会をためらっている、とのこと。50周年を迎え、その評価に恥じない山岳会を維持して行けると良いのだがと心の中で思う。
山頂で美濃戸山荘の車を回収するそうべぇさんと別れ、我々は真行寺尾根を下ることとする。真行寺尾根から荒々しい赤岳沢をのぞき込む。赤岳沢の事故から9年、現場に残されたなかじんさんのザックがずっと気になっているが、いまだに赤岳沢に入る気持ちになれない。鎖場が続き、途中踏み跡に誘われて、尾根を外れてガレ場に入りかけた。一般登山道だからと甘く見てはいけないと思う。牛首山までは思ったより長く、疲れる下りだった。

牛首山山頂

前夜隣のいびきによる寝不足も影響しているかもしれない。ようやく賽ノ河原に到着。ここからゴールは近いと思っていたが、水平距離では赤岳~賽ノ河原より賽ノ河原~清里駅のほうが長い。美し森ではソフトクリームにみんな心惹かれたが、そうべぇさんが待つ清里駅までお預け。登山靴での長い車道歩き、12時40分清里駅に到着。そうべぇと合流し、駅をバックに記念写真を撮影する。

清里駅前

1月19日の大山からスタートしたビッグバンド・トレイルも、残すところ伊勢原駅から大磯海岸のみとなり、みんな感慨にひたりながらソフトクリームを頬張った。

(記 レー子)

笠取山

期 日:2019年9月29日(日)
参加者:Lオヨシ、ヒー

9月29日(日)晴れのち雨
作場平駐車場(10:15)-笠取小屋(11:45)-笠取山(12:30)-笠取山(13:35)~作場平駐車場(14:20)

笠取山は西峰の肩(山梨県域山頂)、西峰、中峰(埼玉県域山頂、最高峰)と東峰の4峰を有する珍しい山。そのため、9月の会山行では2パーティに分かれたことで、結果的に全てのピークを繋ぐことができなかった。今回の山行目的はそのピークハントである。
登山道はきちんと整備され、快晴で空気も澄んでおり好条件がそろっていた。

沢のせせらぎが聞こえる

しかし午後から雨予報であったため、序盤からペースを上げた。笠取小屋は営業期間を終了、前回は夕方に小屋番が鹿の餌付けをしていたそうだが、それも終えてしまったのか。そんなことを気にしながら分水嶺に到着、ここは多摩川・荒川・富士川の源泉である。

分水嶺

間もなく西峰の肩が笠取山一番の急登と共に姿を現す。その山頂には山梨百名山と記された立派な標識が立てられている。

笠取山(西峰の肩)山頂
富士山が見えた

南方の景色が素晴らしい。少しわかりづらい登山道を進み数分で西峰へ。ここには標識も三角点も何も設置されていない。

笠取山(西峰)山頂

さらにわかりづらい登山道の先に中峰があり、埼玉県と環境庁の名が刻まれたやや朽ちた標識と三角点がある。

笠取山(中峰)山頂

さらに5分ほどアップダウンを繰り返すと、最後の東峰に到着。

笠取山(東峰)山頂

これでやり残した目的は達成。北西の空に灰色の雲が増えてきたため水干を経由して早足に下る。笠取小屋では案の定、数頭の鹿が餌を求めてうろついていた。雨に降られる前に下山。今回は数パーティとしかすれ違わなかったが、紅葉が進めばまた登山客で賑わうであろう。

(記 オヨシ)

双六岳~黒部五郎岳

期 日:2019年9月25日(水)~9月27日(金)
参加者:Lヨッシー

9月25日(水)
新穂高温泉(6:21)-双六小屋(13:10)

三日間の好天が約束された新穂高温泉は早朝より駐車場が満車。平日にもかかわらず登山者が多い。鏡平を経て双六小屋には13時過ぎに到着。テントも夕方には30張りほどになった。

9月26日(木)
幕営地(4:33)-双六岳(5:20)-三俣蓮華岳(6:22)-黒部五郎小屋(7:45)-黒部五郎岳(9:53)-黒部五郎小屋(11:55)-三俣蓮華岳(13:49)-双六小屋(15:33)
 
ヘッドランプを点けて出発する。双六岳の手前で明るくなる。三俣蓮華岳までの縦走路は以前裏銀座を縦走した時に歩いているはずだが、その時は天気が悪く記憶が曖昧である。三俣蓮華岳から黒部五郎小屋に向かう。こちらに向かう人は少ないようだ。黒部五郎小屋から黒部のカール(北面カール)一帯は別天地である。個人的には雲ノ平や高天ヶ原より景観が素晴らしいと感じた。念願の黒部五郎岳の山頂に立つと、太郎平までの縦走路が見えた。

黒部五郎岳

赤木岳までの間は宿題になった。帰路は稜線コースを下る。小屋で一休みして三俣蓮華岳まで登り返す。三俣蓮華岳からは巻道ルートで双六小屋まで戻る。

9月27日(金)
幕営地(5:00)-鏡平(6:45)-新穂高温泉(9:55)

夜明け前に出発する。最終日も良い天気で登って来る人も多い。順調に新穂高温泉に到着、平湯で汗を流してから帰宅する。

(記 ヨッシー)

会山行B隊 笠取山~北天のタル

期 日:2019年9月14日(土)~9月15日(日)
参加者: Lコバヤン、そうべぇ、オヨシ

笠取山を経由地点として2隊で歩破する。交通方法について移動車両1台にて下記の手順で実施。
オヨシ家出発-雁坂トンネル手前駐車場にてA隊をドロップオフ-作場平小屋に駐車B隊入山-同場所A隊車両をピックアップ-後山林道(片倉橋)合流

9月14日(土)
作場平小屋(10:40)-笠取山-将監小屋(17:10)

オヨシ宅に6時30分集合し、中央道繋ぎ作場平小屋登山口へと向かう。途中雁坂トンネル手前駐車場にてA隊をドロップオフしたが思っていた以上に時間が掛かってしまった。
10時40分登山開始、天候も良く気持ちの良いスタートでした。地図上のコースタイムは5時間20分だったので16時には幕営予定である将監小屋に到着出来ると考えていたので笠取山をコースタイムより若干早めに通過し高揚していました。

笠取山(東峰)山頂
笠取山(中峰)山頂
唐松尾山山頂

その後、唐松尾山を過ぎたところから将監小屋までは下り基調なハズが何故か登り基調になってきて3人ともに何か、変だなと思いつつ先を急いでしまった結果、西御殿岩(2075m)まで登り詰めてしまいました。

道に迷っている??
西御殿岩

おまけに2名グループも追従。原因は分岐の表記看板が倒れていたこと、変だと思った時に地図確認を怠ったことでした。その後、山ノ神土分岐から将監小屋までの間は慎重になり過ぎてウロウロする始末。結局予定到着時刻より1時間以上遅い17時10分に本日の幕営地である将監小屋に到着しました。

将監小屋

9月15日(日)
将監小屋(5:10)-飛龍山-三篠の湯-後山林道・片倉橋(10:00)

4時起床、朝食も早々に片付け5時10分に出発した。

こもれびが気持ちいい

歩き始めて徐々に夜が明けて朝もやの中、日が差し込んでくる感じがとても気持ちよく、昨日のトラブルもすっかり忘れて男三人楽しかった。

三条の湯

その後三條の湯を通過し、後山林道ゲートでレー子さん達と合流した。しかし、また反省すべき事項を起こしてしまった、本来は三ツ山経由して水無尾根で三條の湯を通るルートであったが、ルートを繋げれば、良いのではと言う勝手な解釈で三ツ山を通らない最短ルートを選択した。後に主脈ルートを通ってないことに批判が集まり、後日そうべぇさんとオヨシさんに抜けたルートを再度歩いて頂きました。

(記 コバヤン)

会山行A隊 雁坂峠~笠取山

期 日:2019年9月14日(土)~9月15日(日)
参加者:Lレー子、ヒー

9月14日(土)晴れ後曇り・ガス
相模原(6:30)=雁坂トンネル入口駐車場(8:45)-沓切沢橋・林道終点-雁坂峠(11:17)-水晶山(11:50)-古礼山(12:20)-燕山(13:03)-雁峠(13:35)-分水嶺-笠取山[山梨百名山](14:15~14:22)-分水嶺(14:40)-笠取小屋(14:50)

奥秩父の残りルートを繋ぐため、2パーティに分かれてスタート。我々女性パーティは2週間前下山した雁坂峠に再び同じルートで登り、我々を降ろした男性陣は作場平橋の駐車場に向かい、そこから笠取山に登り将監小屋に幕営し、三條の湯に下山してくるので、作場平に下山した我々が車を回収して後山林道の片倉橋まで迎えに行くと言う計画。
前回は釜の沢を遡行してからの下山のため、雁坂峠からの下りは結構疲れたが、本日は登攀具もなく楽だ。最後の急登を登り雁坂峠に到着。

雁坂峠

今日は天気も良く、時間的にも早いため、峠には数パーティの登山者が休んでいるが、交通の便が悪いためか我々の行く笠取方面に行くパーティはいないようだ。

古札山山頂

ここから古礼山方面は笹原の稜線で美しい。峠からしばらく行くと「見返り雁坂峠」と書かれたビューポイントがあり、振り返ると青空と笹に覆われた山肌が本当に美しい。ただ、青空はこの辺りまでで、水晶山あたりから古礼山周辺では濃いガスに覆われ、苔むした樹林帯が一層幻想的に見えた。

水晶山山頂

雁峠に到着。時間的にも早く、翌日は天気が崩れる予報だったため、分水嶺にザック(地図も)をデポして笠取山山頂を往復することとした。

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笠取山(西峰肩)山頂

地図には山頂が西と東に二つあると書かれていたため、最初の山梨百名山と書かれた笠取山の標識を超え、次の岩峰まで行ったが特に標識はなく、少し不思議に思ったがその先は下っているためそこから引き返した。しかしB隊は笠取小屋を通らないルートを取ったため、結果的に山梨百名山の西ピークと1953mの東ピークの間が繋がっていないことが下山後発覚した。一般ルートでも地図は大切。
分水嶺に戻りザックを回収、整備された登山道を下ると間もなく笠取小屋。バイオトイレもあり、樹林帯の中の気持ちの良いテント場。小屋のおじさんに指示された場所にテントを張る。3時になるとたくさんの鹿たちが集まってきて、おじさんから餌(ドッグフード)をもらって食べている。樹木を鹿の害から守るために餌を与えているのだと言う。たくさんの鹿たちに、隣のテントの坊やは興奮気味。小屋前のテーブルで宴会をしているパーティもいたが、霧で濡れそうなのでテントに入り、B隊と違い上品に夕食を済ませ早々に眠りに就いた。

9月15日(日)晴れ
幕営地(6:20)-一休坂分岐-作場平橋・車回収(7:16)=後山林道・片倉橋

明け方までテントを叩く雨音がしていたが、朝起きてテントから出ると東の空は朝日に輝いていた。B隊との合流時間を考えゆっくり出発。小屋の水場を水源として流れ出る沢沿いに付けられた道を下るが、辺りは苔むした日本庭園のように美しい。数人の登山者やトレランのランナーとすれ違ったが、交通の便が良ければ、もっと大勢の登山者が押しかけて、この美しい自然を維持できないかもしれないと感じた。
駐車場で車を回収し、時間もあるので道の駅「たばやま」に向かうが、温泉は10時から。前日の予報に反して晴れて暑い。せっかくなので芝生の上でテントを広げて干し、10時前にはすっかり乾燥し、温泉で汗も流し、2時間くらい待つ覚悟で後山林道に入る。悪路を進み片倉橋の駐車場に着くとおじさん3人が休んでいる。予想に反して早く到着した様子、話を聞けばどうやら三ツ山のピークを省略したらしく、笠取山のピークも含めて打ち合わせ不足により宿題を残しての山行となった。

(記 レー子)

室堂~針ノ木峠

期 日:2019年9月13日(金)~9月15日(日)
参加者:みの  

9月13日(金)
室堂ターミナル(9:55)-一ノ越山荘(10:40)-獅子岳(13:00)-ザラ峠(13:53)-五色ヶ原山荘(14:33)-五色ヶ原キャンプ場(14:44)

台風のため断念した夏合宿ルートを少しアレンジしてトレースした。
12日は仕事後に富山に向かい駅周辺のホテルに宿泊する。13日(金)は平日だが立山黒部アルペンルートに閑古鳥は鳴かない。電鉄富山で片道切符を購入し7:04発に乗る、乗客は通学する高校生が多い。立山駅で予約したケーブルカーまで20分ほど待って美女平に到着。すぐにバスに乗り有名な滝を観たり転寝したりしているうちに室堂に到着。夏合宿では信濃大町-扇沢-室堂を往復利用したので立山黒部アルペンルートは完全制覇だ。一ノ越から先は数名の縦走者が前後する。

ザラ峠

浄土山との合流地点からは五色ヶ原を遠望できる。清々しい天気に恵まれ難なく五色ヶ原に到着し、小屋で受付と飲み物購入、キャンプ場に向かう。テントは夜には20張り程になる。夕暮れ時の山々が赤く染まって美しい。

9月14日(土)
幕営地(5:50)-刈安峠(7:13)-平の小屋(8:15)-渡船(10:00)-避難小屋(10:29)-南沢出合(10:54)-船窪岳分岐(13:04)-針ノ木沢出合(13:30)-針ノ木小屋(16:04)-平坦地(16:20)

シュラフカバーだけで過ごした夜はとても寒く着られる物を全て着込んで耐える。体温を蓄えて温まったシュラフマットは就寝中の背中を守ってくれて助かる。夜12時過ぎに静かに行動開始するタフな女性単独行者がいた。テント場のトイレは防犯灯が付いていて照明が自動点燈する便利仕様だ。少し経つと自動消灯するが体を動かせば再点灯してくれる。テントを乾かしてゆっくり出立するも平の渡しを1時間以上待つ。

平の小屋

平の小屋の飼い犬(黒柴)は飢えていて休憩していた登山客の隙をついてローストビーフを盗み食う。
渡船に案内はなく、釣り人の話すとおりに勝手に無人の船に乗りこんで待つと、船員は別の船で現われ定刻10時に出発する。乗船者は2人が奥黒部ヒュッテ行で、その他5名は釣り人だ。針ノ木谷は船窪乗越しへの分岐までは新しい赤布とペイントが案内してくれる。しかし分岐を過ぎると不明瞭な踏み跡と何十年も経過しかすれたペイントが目印となる。渡渉も幾度かあり飛び石が無いため靴を濡らす。針ノ木沢出合までに計3名の単独行者とすれ違う。先頭は外国人女性でキチンと下調べしてきたらしく地下足袋を履いていた。地下足袋を指差しグッドチョイス、ツーモアクロッシングゼアーと話すとアリガトサンネーと笑顔の英会話。針ノ木沢出合で休んでいると突然男女2人組が現れお互い驚く、初老の男性は針ノ木峠から船窪岳への近道を選んだと語るが、若い女性をしごく罰ゲームにしか思えない。そこから先も踏み跡が薄く小一時間ほど沢歩きとなる。二股を過ぎて水が枯れると踏み跡が濃くなり針ノ木峠の手前だけ整備されている。針ノ木峠への到着タイムは前回(26年位前)より20分遅いだけで進歩と退化の変化は無い。受付に行くと小屋もテント場も超満員で暫く登って平坦地を探してビバーク(有料)せよとのこと。缶ビールは売り切れて生ビールのみの販売なので、仕方なく大ジョッキで頂く。泡をすり切ってなみなみ注いでくれてとても嬉しい。よく冷えたビールを一気に飲み干すとテン場探しの登りは苦にならない。
(駅前旅館の話によると針の木小屋は昨日300人収容、断られて下山した人もいたらしい)
  
9月15日(日)
幕営地(6:43)-針ノ木小屋(6:55)-大沢小屋(9:05)-扇沢(9:43)=信濃大町駅

順応力とは便利なもので昨夜の寒さに体が慣れてしまったせいか寒さをそれ程感じず熟睡する。キャンパーのマナーも良く朝の出立も静かだ。テントから頭を出して東の空が赤く染まり広がるさまを眺める。ゆっくり支度して針ノ木峠を後にする。

針ノ木峠

雪渓はノド付近に一部残るだけで跡形も無く消失しておりアイゼンの出番は無い。今年は5月の山スキーと7月の会山行で2回雪渓を通過しているが遠い昔のことの様に思える。ノドの下で休憩していると昇りの男女2人組から「ここに雪渓ってあったのですか?」と聞かれ、ここから見えないけどあそこにあるよと上部を指差すと2人は満足げに頷く。無造作に河原を歩いていたところ足を滑らし大転倒するが幸い怪我はなかった。気を引き締めて下る。営業終了した大沢小屋の先を右に曲がり鉄パイプの橋を渡り、雑草の生えた道を辿って扇沢ターミナルに到着、10分後発のバスに乗る。駅前旅館の七倉荘でお風呂を利用、井筒ワインをお供にして帰路に着く。

(記 みの)

島々~徳本峠~上高地

期 日:2019年9月7日(土)
参加者:そうべぇ

9月7日(土)
島々登山口(4:10)-二俣(5:40)-岩魚止小屋(7:20~7:35)-徳本峠(9:35~9:50)-上高地(11:20)

計画を立てては台風の影響で日程の変更、台風の影響がないだろうと思い決行しては敗退。いつできるのかと気がかりであった山行は、天気予報をチェックする毎日であった。8月の中旬から毎週末は台風が襲ってくる天気の中でやっと晴れの予報が出た。これを逃すと実行できる自信も失い、徳本峠クラシックルートへのモチベーションも下がってしまう気がした。会社から帰宅後、20時に自宅を出発。0時30分松本市役所安曇支所内の駐車場に車を止める。登山客とみられる車は3台ほどあった。車中泊で出発の予定時刻5時前まで仮眠をとるが、止めた場所が悪く少々斜めであり、うまく寝つけない。2時ごろ隣が騒々しい。トレランの男2人組が出発の準備をしているようだ。3時前にヘッドライトをつけ走って行った。徳本峠だろうか。まだ時間があるのでもう少し寝ようとするが目が冴え眠れないので、起きて出発の準備を始めた。予定より1時間早い4時過ぎに支所の駐車場を出た。  
4時10分、島々登山口である徳本峠入口とある看板の前で記念撮影。

徳本峠入口

上高地まで20kmとある。徳本峠まで16kmの長丁場だ。川沿いにしばらく進むとゲートがありその先が林道であり二俣へと続いている。ゲートはしっかりとした作りで、ゲートが開かないように鎖で幾十にも巻かれていた。熊に注意の看板もある。しっかりとしたゲートはそのためなのだろうか。ゲートを閉じ進む先を見ると後悔した。真っ暗だ。ヘッドランプがあるからといって漆黒の闇は怖い。星明かりも届かない。すぐに夜も開けるだろうと思うのだが、1時間以上は暗闇の中を進まなければならない。おまけに熊も出るようだ。熊対策として、手作りの熊よけの鈴を持参し、手首につけ意識的に鈴を鳴らしながら歩くのだが、熊に出会ったら全く役に立たない。熊に人がいることを気付いてもらい、近づいてこないように祈るだけだ。しかし鈴の音は小さく、出会ってしまってはじめて人間がいることに気がつくのだろう。暗闇と熊に怯えながら長い林道を進んでいく。島々谷川の音が細く遠くなり、緩やかだが高度を少しずつ上げていることがわかる。途中に二俣近くが崩落のため通行止めとの看板とゲートがあり車の通行を規制していた。平成30年7月豪雨のための徳本峠方面は全面通行止めと標識がある。ここで引き返さなくてはいけないのかと思い進むことを一瞬躊躇うが、行けるところまでは行ってみるかと思い進んだ。5時になってもまだ暗くヘッドランプはつけたままだ。朝はまだ来ない。川沿いの茂みでガサゴソと音がすると緊張し足が止まる。じっとして様子を伺うが気配は感じない。また、歩き出す。後ろで突然大きな音が聞こえ、何かがこっちに向かってくる。振り向くと音の正体は車だった。ライトを照らしながらカーブを曲がり、正体を現した。なぁんだ車か、本当にびっくりした。熊が恐いので車に乗せてもらおうかと思ったが、歩かなければ今回の山行の意味がなくなるので、手を上げて車を止めることはやめた。自分の臆病ぶりには正直情けなくもあり、可笑しくもあった。法面が大きく崩落している箇所があった。ここが崩落現場のようである。すでに林道は整備され車も通行可能である。ここからしばらく歩くと二俣だ。5時40分に到着した。山の稜線ならばすでに山は目覚めているはずなのに、あたりの様子はうかがえる程度には見える。ここは谷、 島々谷はまだまだ眠そうだ。暗闇から解放されたおかげだろうか、熊との出会いの心配も少し薄らいだ。先ほど出会った車が止まっている。作業員の車だろうか。二俣からは南沢に沿って登山道を進んでいく。沢の水量も多く、最近の降雨量の多さを物語っている。沢は綺麗だ。登山道は細いのだが、綺麗に整備されている。その昔、岳人たちが上高地に入るためにこのルートをよく利用していたことがうかがえる。登山道はUp, Downを繰り返し徐々に高度を上げていく。斜面が崩れ登山道も流されているところもあり慎重に通過する。登山道が狭く、ふらついたりすると沢に落ちてしまう危険もあるので足元に注意をしながら通過する。いくつかの橋を渡り岩魚留小屋に7時20分に到着した。9時30分に到着の計画を立てていたのだが、1時間前倒しに登山口を出発しているとはいえ、7時20分到着は随分と早いなと思った。しばらく休憩し先を進む。中ノ沢、障子川瀬沢を過ぎる。枝沢であるが水量は多い。登山道は枝沢から溢れた水で水没しているところもあった。本谷と峠沢の分岐から峠沢沿いに登っていく。スマホのアプリで標高を確認すると1747mだ。登山口の標高が730mほどだったのでちょうど1000mほど登ってきたことになる。しかしそんなに高度を稼いだ気にならない。不思議でしょうがない、なぜだろう。谷に光が差し込み始めたのもこの頃からだ。遅い目覚めである。沢の音が遠くなり始めたころからジグザグの急登が始まる。これを登りつめると峠なのだと思うとワクワクした。木々が低くなり、青空が近づく。もうそこが徳本峠だ。目の前が開けた。穂高連峰が飛び込んできたと期待したのだが、目に飛び込んできたのは徳本小屋だった。徳本峠クラシックトートの醍醐味は、峠に上がった時に穂高連峰が目に飛び込んでくる素晴らしさと聞いていたが、そうでもなかった。小屋が新しくなった際に古い小屋を前に移動させたのではないだろうか。峠も様変わりしている。穂高を望む望遠鏡も取り払われていた。峠自体も少し狭くなったよう気もする。そのせいで穂高連峰の見え方も違ってきたのだろうか。9時35分に徳本峠に到着した。

徳本峠

小屋番に先日(8/16)の台風の通過後の情報を聞いたら、濁流で橋が流されていたため、登山客が登れなかったそうだ。あのまま、島々まで降っていたら途中で引き返すことになっただろう。上高地に下山の判断をしてよかったと思った。無理はせず、不安な状況であれば回避する。回避手段はいろいろあるが、習慣にしたいものだと思った。しばらく峠で穂高連峰を眺め、9時55分に下山を開始、11時20分に上高地に到着した。

上高地

コースタイムを3時間30分ほど早く到着したことになるが、特別無理をしたとも思えない。地味な山行だったが懐の深い谷を満喫した。単独もまた、楽しい。

(記 そうべぇ)

 

上高地~徳本峠

期 日:2019年8月16日(金)~8月17日(土)
参加者:Lそうべぇ、メイメイ

8月16日(金)
島々・安曇支所前(6:06)=上高地(7:05~8:00)-徳本峠(11:30)

徳本峠クラッシクルートは島々谷から上高地に抜ける峠道。古く歴史に残る名門ルートである。上高地までの道が開通していなかった当時は、島々谷からこの峠道を経由し上高地まで2日ほどかかり歩かれていた。その距離は20km。釜トンネルの開通以降バスで上高地まで入れるので、今では上高地が北アルプスの起点となり、この峠道は忘れられたような存在となっているのではないだろうか。その分静かな山歩きができることが期待できる。私は、50周年記念山行の計画中にも、上高地から松本駅までの国道をランニングすることを考えていた。地図を一緒に見ていたさっちが、「徳本峠越えのクラシックルートは憧れなんだよね。」との一言でこの山行を計画した。8月の爽やかな夏を感じながらの峠越えを期待した。
8月4日に発生した台風10号(Krosa)は発生時点で「大型」の台風であった。私たちの山行は16日なので、台風一過の爽やかな山歩きができると信じていた。台風ははじめマリアナ諸島近海を北西に進んでいたが、8日頃から11日頃にかけてほとんど停滞し、8日には勢力のピークを迎えた。その後徐々に勢力を落とし、11日昼ごろから再び北西に進み始めたものの衰弱していった。暴風域が消滅した12日には平成29年の台風21号以来の「超大型」の台風となったが強風域が縮小し「大型」の台風に戻りつつ再発達した。勢力は弱まったものの太平洋沿岸においては風が強まり、高知県の室戸岬では15日8時に最大瞬間風速41.1メートルが観測された。中国地方を暴風域に巻込みながら豊後水道を北上、15日11時には愛知県佐多岬半島を通過。その後も勢力は衰えることなく同日15時ごろ広島県呉市付近に上陸した。その後台風10号は日本海に抜け、日本海を北上し16日21時に北海道の西、北緯43度、東経138度で温帯低気圧に変わりその後消滅した。横浜からの移動中の車の中では「台風の影響はないよね。」「ない!ない!」。と何度も自問自答を繰り返し、松本に向かったのであった。島々谷から峠越えが正しいルートなのだが、台風の影響で登山道が荒れているのではないかと思い、逆ルートの上高地から入山することにした。台風の影響を多少心配しての配慮だった。安曇支所駐車場(無料、届け等の連絡不要。自己責任で駐車可能)で仮眠中に雨が降ったが翌朝出発時には雨は上がっていた。
安曇支所前バス停からバスに乗り上高地に向かった。雨は徐々に降り始め、上高地到着時には本降りの雨になっていた。それでもまだ雨は上がると信じた。雨が降っているのに登山者や観光客で静かに賑わい、私たちもカッパを着込み徳本峠へと向かった。久しぶりに歩く上高地は懐かしく、小梨平のキャンプ場、明神へと歩きながら昔登山に来ていた頃を思い出していた。カッパを叩く雨音が強く、歩きながらの会話もままならず黙々と歩く。「さっちは楽しいのだろうか。きっとつまらないだろうな。」などと想像しながら歩いているうちに徳本峠に到着した。あっと言う間だった。

徳本峠

テント場にはテントが一張り張られていた。私たちもテント泊予定だったが、土砂降りの雨に濡れ寒く、テントを張る元気も気力もモチベーションも無くなっていたので徳本峠小屋へ泊めてもらうことにした。小屋番と島々谷から峠越えの話をしたら、台風の影響で沢が決壊しているかもしれないので、明日の下山に利用するのは控えた方が良いとのアドバイスがあった。無事に山小屋に泊まれ、やることも無く午後はのんびりとお酒で温まりながら夫婦水入らずで、山談義を楽しんだ。

8月17日(土)
徳本峠小屋(6:20)-ジャンクションピーク(7:18)-徳本峠(8:15)-上高地=島々安曇支所前(11:15)

17日は雨も上がっていたので峠から島々谷への下山も考えたが、小屋番のアドバイスに従うこととした。知った道、先人の経験と知らない道、無知から起こるリスクは計りしれない。このまま、上高地に下山するのももったいないので、霞沢岳への途中にある2428mのジャンクションピークまで行ってみることとした。山小屋に泊まっていた私たちより年配のお姉さまたちが、楽しそうに会話をしながら登っている。霞沢岳まで往復し今日も峠に泊まる予定だとのこと。私たちも時間が取れるようになったら「いっぱい山に登ってやるぞ!」と思いつつ上高地まで下山した。

(記 そうべえ)

硫黄岳~赤岳~編笠岳

期 日:2019年8月16日(金)~8月18日(日)
参加者:Lなべたけ、わたゆき

8月16日(金)曇り
稲子登山口(12:00)-本沢温泉(16:30)

台風10号の影響を考え、日程を1日後ろにずらして入山。みどり池経由で本沢温泉に入る予 定だったが、倒木(台風の影響?)のためバスが稲子湯まで入れず、稲子登山口から本沢温泉へ。 道中、頭上の縦走路の方からビュービューと強風が吹き荒れている音が絶えず聞こえてきていた。

8月17日(土)曇りのち晴れ
本沢温泉(7:00)-硫黄岳(9:10~9:20)-横岳(11:00)-赤岳(12:30~12:50)-キレット小屋(15:10)

昨日の嵐のような強風の音はなくなっていたが、まだ台風の影響が残っているかもしれず、縦走路に出て強風が続いていたら、下山を検討しようと思った。しかし、硫黄岳~横岳のコルでも身体が傾くような強風はなく、特別な問題なく横岳~赤岳を縦走できた。

硫黄岳山頂
横岳山頂
赤岳山頂

縦走路は夏休みの最盛期で、老若男女で非常に賑わっていた。山ガールの先端スタイルは、ホットパンツが熱いらしい。ミニスカート姿の女性もいて男性は目を奪われるかもしれない。権現岳への分岐から先は、一転して登山者はまばらになった。キレットに下るガレ場は、今山行中いちばん危険を感じた箇所で、落石に備えてヘルメットを着用したいところだった。赤岳周辺に比べると静かな山になっていたが、キレット小屋のテン場は、15張りほどで満杯状態だった。夕暮れ時、天狗尾根のシルエットが綺麗だった。

8月18日(日)晴れ時々曇り
キレット小屋(5:00)-権現岳(7:00~7:10)-編笠山(9:20~9:30)-富士見高原スキー場駐車場(14:00)

早朝キレット小屋を出発。快晴で、夏山の清々しい稜線の朝だった。権現岳山頂前の60段のはしごを通過すると、南側から登ってきている登山者で賑わってきた。権現岳の山頂を通過して青年小屋まで下りると、色とりどりのテントが張られていた。

編笠山山頂

縦走最後のピークの編笠山を登り返して、あとは長い道のりを駐車場まで無事に下山した。

(記 なべたけ)

夏山合宿A隊 種池~白馬鑓温泉分岐(八峰キレット・不帰キレット)

期 日:2019年8月10日(土)~8月13日(火)
参加者:Lそうべぇ、コバヤン、オヨシ、ヒー

8月10日(土)
橋本(4:30)=扇沢登山口(9:30~10:00)-柏原新道-種池山荘(14:00)

オヨシ宅に4時30分集合し、圏央道、中央道と繋ぎ扇沢登山口へと向かう。お盆休みの初日でもあり渋滞を気にした。案の定八王子JCTで渋滞に捕まった。B隊は5時に橋本駅を出発しているはずなので、渋滞情報を共有のためメールで配信した。渋滞は八王子JCT付近のみでその後は順調に扇沢登山口に到着した。扇沢駐車場の手前から車道の脇に登山客の車と思われる車列があり、駐車場を確保できるか心配したが登山口の真正面に1台分のスペースが空いていた。すかさずそこをキープする。反対側で女性が1人こちらを見ているとオヨシが察知する。この女性とはその後、柏原新道の登りでこの女性を追い越す際に声をかけられた。「ラッキーだったわね。3分ほど前にそこの場所が空いたのよ。私たちは、登山口から遠く離れた場所に止めなければならなかったので、羨ましくて見ていたの。」とのことだ。渋滞には遭ったがこれで帳消しだ。
10時丁度に登山口を出発。登山口には夏山相談所が開設されていて、登山客それぞれに計画書の提出の有無や行程の確認を行っていた。我々も行き先を告げ、先を急いだ。

柏原新道

柏原新道は歩き始めの1時間30分ほど傾斜がきつく大変だ。荷物が重いのか大汗をかき始めた。コバヤンも大汗をかいている。オヨシとヒーさんは涼し気に歩いている。年齢を理由にはしたくはないが、もしかしてそうなのかもしれない。日々の鍛練・準備不足であることは否めないだろう。2000mを越えたあたりからそうべぇのペースが落ちはじめた。経験をしたこともない大汗をかいている。まるで水をかぶったようだ。水分補給をしながらの行動であるが、補給が間に合わない。コバヤンもすごい汗だが、その大汗を笑い飛ばし快調そのものだ。3人から15分ほど遅れて種池山荘前に到着した。

種池山荘手前

そうべぇのこのバテ様では予定の冷池まではとても行けない。また猿倉までの行程に不安があるので3人に相談した。幾つかの案があがり相談の結果本日は種池で幕営し、明日11日の行程は五竜山荘まで行くことに決めた。

爺ヶ岳を臨む

決めれば早い。早速今夜の寝床の準備のため種池のテント場でテントを張り、山荘前で夕食の準備を開始する。同時に宴会もスタートする。ビールを山荘で購入し飲む。冷たいビールを飲むと少しずつ元気が出てきた。軽い熱中症だったのかな?そして夕食の「チリコンカン」で体調も回復してきたので少し安心した。明日は予定通り五竜山荘のテント場までは行けるだろう。18時に就寝した。メンバーを不安にさせてしまったことは反省しなければならない。

8月11日(日)
幕営地(3:30)-冷池山荘前(5:20~6:20)-布引山(7:15)-鹿島槍ヶ岳南峰(8:15)-キレット小屋(10:15)

起床は午前2時30分、風もなく山は静かであり、眩いばかりの星明り。今日の天気が約束されているようだった。朝食は冷池山荘前で摂ることにして、準備出来次第出発した。

夜明け前の出発

ヘッドランプを照らしながらまだ眠っている山々の陰影を眺めながら進む。爺ヶ岳の登りはゆっくりと歩を進めていく。先頭はオヨシ、続いてそうべぇ、ヒーさん、コバヤンの順だ。爺ヶ岳山頂は春合宿でB隊(爺ヶ岳東尾根隊)が踏んでいるので、今回は山頂を巻くことにして冷池山荘へと急いだ。午前4時、夜が明けはじめる。

夜明けの雲海

まさに「暁」とはこのことだろう、とても厳かである。雲海に沈む谷や里はまだ目覚めるには早すぎる。稜線上から眺める景色、雲海の果ては深紅からオレンジ色に徐々に移り、山が目覚める。私たちは歩くことも忘れ、その瞬間を見守った。実際の目で見る風景にはかなわないとわかっていても、カメラを構えシャッターを繰り返した。

冷池山荘と鹿島槍ヶ岳

冷池山荘前には5時20分到着した。2時間ほど歩いてきたので、朝食が恋しくなった。小屋前で朝食の準備をする。「パスタとスープ」だ。山でパスタを茹でるのは初めての経験であり、茹でた後のお湯をスープとしていただくのは妙案であった。山でパスタを食べたいと思っていたが、茹で汁の処理を考えるとどうしても躊躇してしまう。食担の工夫が感じられる。お腹も満たされ、朝の陽ざしをいっぱいに浴びながら布引山へと向かう。冷池山荘からしばらく登るとテント場がある。山荘からテント場までは5分ほどの距離。このテント場を利用する場合夜のトイレなどに多少の不便を感じるだろう。

晴天の空と立山連峰

布引山までの稜線歩きは楽しい。布引山からは鹿島槍ヶ岳の南峰と北峰が臨め、双耳峰の立派な山容だ。

布引山にて休憩

アップダウンを繰り返しながら鹿島槍ヶ岳南峰には8時15分に到着した。

鹿島槍ヶ岳山頂
鹿島槍ヶ岳からの稜線

しばらく展望を堪能し、これから向かう八峰キレットに思いを馳せ、ヘルメットを着用し気を引き締めた。

八峰キレットへ

キレットとは漢字では「切戸」と書き、山と山をつなぐ尾根が深く切り落ちている場所のことを言う。通常の尾根よりも細く断崖絶壁もあるキレットは、難易度も高く、岩登りの基本的な技術が必要な場所でもある。八峰キレットは鹿島槍ヶ岳南峰と五竜岳にある難所。キレット小屋から五竜岳までは長い岩稜帯の連続であり、鹿島槍ヶ岳南峰からキレット小屋までは特に難所とされ、特にルートを下りにとった場合は更に難易度が上がる。私たちは南から北に向かうルートを取っているので、慎重に行動しなければならなかった。

慎重にトラバースする

随所に鎖が張られているのでザイルを使うことはなかったが、鎖に頼りすぎると自分の体勢を見失ってしまうので、岩登りトレーニングや救助トレーニングなどで培った三点確保をしっかりと意識しながら通過した。メンバーとは岩登りトレーニングなどで一緒に練習をしているので、お互いの技量は把握している。この点では信頼関係はできていて、安心して行動を共にすることができた。

五竜岳を臨む
八峰キレットの核心部を通過

しかし高度感があるので常に緊張していた。(合宿後であるが、よほど緊張していたのか口内炎が随所にできていた。これはストレスだと思う。口内炎は4,5日で消えた。)キレット小屋には10時15分に到着した。鹿島槍ヶ岳南峰からの降りの緊張感がキレット小屋に到着しほっとした。
小屋で購入しコカ・コーラを飲む、これが実に美味い。実は昨日、種池山荘前でコバヤンがコカ・コーラを美味そうに飲んでいる光景がよみがえり、おもわず購入した。これが本当にうまいのだ。小屋前で休憩中に長野県警山岳パトロール隊員と会話をした。今日の行程が五竜山荘でテント泊の旨を伝えると、「これからの行動ではぎりぎり間に合うかもしれない。しかしテント場の確保が難しいだろう。夏山シーズンであり、人気の山なのでテント場は12時前後でほぼ満杯となる。夕方に到着の場合は山小屋になる事を覚悟したほうがいい。また、今日は発雷の可能性もあるので注意が必要だ。」などのアドバイスをいただいた。鹿島槍ヶ岳南峰からの降りでの緊張、ここから五竜岳へ向かう岩稜帯での緊張を続けることのリスクを考え、翌日の行程も唐松山荘前まで行ければ計画は遂行できると判断。また予備日もあるのでここは無理をせずにキレット小屋にて宿泊することにした。ここにはテントサイトが無いので小屋泊となる。小屋番に宿泊を依頼すると、予約が前提であるため宿泊については了解してもらったものの、案の定注意された。テントサイトが無い山小屋の場合、キャンセル前提で宿泊予約はすべきなのか。寝場所に案内され、明日からの計画を練り直した。小屋のビールは高いが、冷たくてうまい。お昼から続いた宴会は、夕食へと移り、18時には就寝した。

8月12日(月)
キレット小屋(4:10)-五竜岳(8:15)-五竜山荘(9:30)-唐松山荘(12:30)

2時30分起床。いびきや寝言が入り乱れ、寝た気がしない。他の宿泊客も起きはじめ、出発に向けて準備をはじめていた。テントをたたむ必要が無いので、出発にはそれほど手間がかからずに済んだ。4時10分にヘッドランプを点灯させ出発する。昨日の発雷の可能性については、夜中0時頃に遠雷が聞こえたのみだった。雨は降らなかったので岩も濡れていない。朝露に湿っているくらいだ。空には満点の星、今日も天気がよさそうだ。

八峰キレット後半へ

岩稜帯の登山道を進んでいく。昨日と同じように稜線上にて日の出を迎えた。

雲海と朝日
ご機嫌なコバヤン

光景は変わらないが、厳かであり何度見ても飽きのこない瞬間である。明るくなるにつれ進む先々、全容が視界に入ってくる。

五竜岳手前の岩稜帯

五竜岳もどっしりとした山容で構えている。五竜岳の登りが少し大変そうであるが、そんなに遠くは感じなかった。五竜岳山頂に8時15分到着した。

五竜岳山頂

山頂では携帯電話の電波が入ったので、B隊の状況などが気になるのでメールを確認した。入山2日目に隊員1名が体調不良により、ダイヤさんとともに下山したとの知らせがあった。親不知までは長丁場となるので、早々に判断ができて良かったと思う。

五竜岳からの稜線

しばらく展望を堪能し五竜山荘へと向かった。しかし、五竜岳はどっしりとしていて大きいなと感じた。山荘でコカ・コーラを飲む。味を覚えてしまったようだ。唐松岳山荘には12時には到着したいと思い、オヨシにテント場の確保のため、少々急いで歩くように指示したが、韋駄天のようにアッという間に目の前から消えてしまった。今までのゆっくり目のペースで抑えられていた気持ちの反動なのだろうか。または、テント場を確保しなければならないという使命感からなのだろうか。
ヒーさん、コバヤン、私の3人の順でゆっくりと進んでいく。コバヤンのかかとが気になった。両方の靴のかかとが「ぱかぱか」しているのだ。いわゆる、靴のかかと部分がはがれている。どれくらいもつのか心配になり大黒岳で休憩中に尋ねると、本人も自覚していた。唐松岳山荘前には12時30分に到着。オヨシは11時45分に到着し、テント設営場所を探していたとの事。唐松岳の無雪期テント場は、唐松岳山荘の北西斜面があてられる。私たちが設営した場所は、小屋から4,5分ほど下ったところだ。小屋との往復に難儀した。テント設営後明日の予定について確認を行った。コバヤンの靴のかかと剥がれが気になり、明日の行程に支障が無いかを検討した。コバヤンの申告により、大事に至る前に明日は八方尾根を下り、扇沢で車を回収し、猿倉まで迎えに行くという案が出た。予備日を使い天狗山荘前、または白馬鑓温泉にて幕営を考えていたが、この提案により、予備日を使わずに猿倉まで下山できるだろうと考えた。不要となる共同装備もコバヤンに預け、身軽になって不帰キレットを越えることができる。計画の変更をメンバーで了承し、行動に移した。18時には就寝した。

8月13日(火) そうべぇ、オヨシ、ヒー
幕営地(4:35)-唐松岳(4:55)-不帰キレット(6:55)-天狗ノ頭(9:10)-天狗山荘前(9:20~9:50)-白馬鑓温泉(11:30~11:50)-猿倉登山口(15:05)

2時30分ごろ、ごそごそと起きだす。朝食の準備に取掛りながら、一杯のコーヒーを飲む。共同装備としてツエルトの代わりにフライシートを持ち、その他縦走に不要な装備はコバヤンに渡した。キレット通過に荷物を軽くできることは大きなメリットとなる。テント場でコバヤンに見送られ、山荘前に向かう。山荘にて水の補給やその他出発の準備を整え4時35分に唐松岳山荘前を出発した。ここから唐松岳までは20分ほどの登りである。小屋泊の登山客であろうか、軽装で朝食前に日の出を迎えようとして山頂を目指しているのだろう。唐松岳山頂には4時55分到着。

唐松岳山頂
最終日の日の出

多くの登山客が日出を待ちこがれていた。私たちも、山頂からの景色をしばらく堪能した。朝陽が上りだすと剱岳が薄いピンク色に染まり始める。今日もいい天気だ。

立山連峰の目覚め

唐松岳山頂からは、これから進む行程が良く見渡せた。天狗ノ頭まではすぐそこにあるようにも見え、近いなと感じた。しかし、アップダウンを繰り返さなければならず、山々の斜面も切れ落ち厳しそうだ。通過には慎重に行動しなければならないと気を引き締めた。
不帰キレットは唐松岳から天狗ノ頭に至る尾根で、コースタイムも5時間ほどの長丁場となる。天狗ノ頭からの急坂「天狗の大下り」を降りた付近は不帰キレットと呼ばれている。

不帰キレット

難所は、これよりも南側の二峰と一峰の間付近が核心部となる。ほぼ垂直な崖を降りなければならないので慎重さが求められる。三峰、二峰と慎重に進んでいく。

二峰南峰

危険個所には鎖が張られているので、ザイルを出す必要はなかった。ただ、鎖を頼りすぎると自分の体勢が作れない危険性もあるので、頼りすぎないように注意する必要がある。一峰には6時55分到着した。

不帰キレット核心部
緊張感が続く

核心部が通過できたので一安心した。

ご機嫌なそうべぇ
不帰キレットを振り返る

不帰キレットから天狗ノ頭までは急登が続く。「天狗の大下り」と名前がついているだけに、危険ではないが登りは険しい。登りきると広い大地が目の前に広がった。

天狗の頭付近
冬に登った白馬鑓ヶ岳

コマクサの群生、トンボの群れ、風わたる大地を飛ぶトンボは涼しげであり優雅だ。天狗山荘には10分ほどで到着、水の補給をして休憩する。水は残雪から供給されているので冷たくておいしい。ここから先は危ない個所は無いので、気持ちも落ち着く。30分ほど休憩をして鑓温泉に向かった。

鑓温泉分岐

鑓温泉分岐からの急な下りは、南斜面であるため日差しも強く、高度が下がるにつれ気温も上昇し蒸し暑い。

鑓温泉前のお花畑

この状態で鑓温泉までの歩きは疲れた。鑓温泉は、こんなところ温泉が湧いているのかと思うような場所だ。宿泊客、テント泊している人たちは登山客というよりも、山屋ではなく、温泉を楽しみに来ているように見えた。温泉は露天であり丸見え、入浴している人たちは気持ちよさそうだ。もちろん内湯もあるそうだ。夏山シーズンではなく、冬か残雪の時期に温泉を目的で来てみたいと思った。メールを確認するとコバヤンはすでに車を回収したとの事。靴の状態や荷物の量を心配したが、無事に下山できて良かった。私たちも15時には猿倉に下山するとメールにて連絡を入れる。12時前に出発した。ここからの3時間が私にとっては非常につらかった。南側の斜面、気温の上昇、湿度の高さ、これらが体力を消耗させた。なんど弱音を吐いたか。オヨシ、ヒーさんは涼しい顔をして歩いている。悔しいが、これも現実でありしょうがないと諦める反面、体力づくりのトレーニングを怠ってはいけないと反省する。後日談ではあるが、オヨシは膝に痛みがあり、ハイペースでの下山で猿倉まではやはりしんどかったようだ。ポーカーフェイスであるため、気がつかなかった。涼しい顔で楽しんでいたのは、ヒーさんのみであったようだ。
15時5分に猿倉登山口に到着した。

猿倉登山口

バス停前の茶店にコバヤンを見つけた。再会と握手、メンバーの協力のもとに夏合宿を成功で終えたことに感謝した。

(記 そうべぇ)

8月13日(火) コバヤン(八方尾根下山)
幕営地(6:00)-八方池山荘(8:30)-ロープウェイ乗場(9:00)=扇沢駐車場(10:20)=猿倉山荘前(14:00)

メンバーを見送り、6時にテント場を出発した。靴のソールをテープにて補修し歩くが、途中で完全に剥がれた。何度もテーピングを繰り返し八方池山荘前まで無事に到着した。
八方文化会館前でタクシーを拾い扇沢駐車場に向かい、車を回収した。猿倉に向かう途中で大町薬師の湯にて汗を流し2時間ほどくつろぐことができた。くつろぎながらメンバーに心の中からエールを送った。13時に薬師の湯から猿倉に向かう。14時に猿倉に到着。そうべぇさんからは15時に到着するとのメールが入っていたので、どのくらいの誤差で到着するのか楽しみに待っていた。15時5分に再会、到着時間にほとんど誤差のないことに感心した。無事に再会できたことをみんなで喜んだ。

完登に乾杯

(記 コバヤン)