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12月会山行 南八ヶ岳 西岳/編笠山(権現岳)尾根 冬山トレーニング

【日時】2016年12月10日(土)、11日(日)
【天候】両日とも晴れ、10日微風、11日弱い風
【メンバー】岳(L)、フーちゃん、みのさん

【行程】
10日 富士見高原リゾート駐車場出発(6:30)~西岳(10:20)~青年小屋(11:55)~権現岳(14:37)~青年小屋(16:42)泊
11日 青年小屋(6:30)~編笠山(7:06)~富士見高原リゾート駐車場(9:42)

【報告】
前夜23時に橋本駅集合、直前、参加メンバーのこまさんより岳Lに体調不良で不参加の連絡が入る、こまさんは山のセオリーやマナー等を丁寧に説明してくれる指導者のひとり、今回も期待していたレクチャーだがお預けとなってしまい一同残念。

岳デリカ号で出発する、順調に走行して富士見高原リゾート駐車場に1時前に到着、テントで仮眠をとる。
皆すぐに寝入るが自分はスキー場の人工降雪機の稼動音が気になり寝付けなかった。

10日5時起床、トイレを求めて道の駅に戻ると仮眠中と思われるテントが散見された。
寒冷地仕様(便座ヒータと温水洗浄器付)の快適なトイレを利用した後、もとの駐車場に戻り6時半に出発する。
歩いている上空は青空だが、稜線の方向にやや黒い雲が見える、雪の無い樹林帯の枯葉を踏んで歩いていると風が運んでくるのか時折ごく小さな雪の一粒が舞い降りてくる。
標高2000m前後から次第に雪が現れ、2200m付近の開けた場所では風が運んできた無数の氷の粒が空中で陽光を乱反射してキラキラ輝くダイヤモンドダストもどきを一同浴びた、“あっキレイ”と言っている間に消えてしまう一瞬の美しい自然現象だった、撮影できず記憶に一瞬を残す。

雪の付きかたも次第に増え“転ばぬ先の杖”でピッケルを手にして進み、西岳の山頂で下界を一望、気温計の表示-5℃、雪の付いた尾根を青年小屋に向かう。

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西岳山頂はガスってました。

乙女の水は竹の注ぎ口近くまで氷柱が育っていて一見ペットボトルに見える、宿泊用も含めて各自水筒を満たす。

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パッと見ペットボトルの氷の芸術。

青年小屋方向から来た単独登山者の話しによると今朝の編笠山は吹雪で、今日入山して編笠山を登ったパーティーは横岳方面への縦走計画を断念して引き返したそうだ、現在の穏やかな晴天からは想像もつかない。

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青年小屋に到着。後ろに見えるのがこれから登るギボシと権現岳。

青年小屋の冬季小屋に宿泊器材をデポし、冬山装備を装着、権現岳をめざす。積雪の形状からうっすらとルートが判別できるが、足跡は付いておらず、我々が今週末の入山一番手の模様、雪の深さがすね下から膝くらいのラッセル、順番に先頭交代して進む、フーちゃんも先頭に立って頑張る。

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えびのしっぽができてます。やっと冬がきました。
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難場ギボシが近づいてきた。

のろし場で休憩、一時間弱所要した、ここで鋭く尖った西ギボシを観察、中腹を巻いている雪のバンドがルートらしい、きつい斜面のトラバースが見える。
進んでみると鎖が雪から顔を出していてつい頼ってしまうが、途中数メートルは埋もれている、万全を期すため岳Lがロープ確保で先行、中間エイトでフーちゃんがセカンドする、フーちゃん確保の際に半マストが一回で結べなかったのが自分の反省点、雪景色のなかでロープを結ぶイメージは用意していなかった、岩場の経験を雪山で活かすには経験とイメージトレーニングが必要と感じた、もりまろさんが早めの計画書作成を促す理由の一つかもしれない。

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ギボシを越えると権現岳はもう間近。

権現小屋に下る雪の稜線に一歩ずつ足跡を付けていくが時間が押しているので急がなければならない、岳Lが先頭に立ち皆を引っ張る。
小屋を通過して再度登り権現岳の頂上に至る。

快晴微風、握手して記念撮影する、真っ白な赤岳、阿弥陀岳、横岳、どれも雄大だ。

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権現岳頂上にて。みのさんとふーちゃん。

 

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権現岳山頂にて。赤岳とふーちゃん。

頂上付近の雪には三つ頭から登ってきた足跡が縦走路分岐に向かって延びていた、雪の稜線にトレースを付けた登山者のスキルとプライドが規則正しいステップに窺える。

景色を堪能し下山する、危険地帯を明るいうちに通過しなければならない。

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ふーちゃん、雪稜初体験。
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西ギボシを下ります。集中&リラックスでおりましょー。

自分たちの足跡を辿れるので慎重に歩むも迷いは無くテンポは快調、のろし場で休憩を取り青年小屋に下る。

冬季小屋は8畳ほどの広さ、頑丈な鉄の扉を開けて入る、窓はあるが板が張ってあるので部屋の中は昼でも真っ暗。
他に利用者はおらず貸し切りとなる。夕飯をフーちゃんが作る、鶏がらのだしを効かせた肉と野菜と高野豆腐の鍋料理で大変美味しい、不参加となったこまさんの分まで食べると一同満腹となり、締めの麺の調理には待ったがかかる。
権現岳往復の際にデポしておいた缶ビールがシャーベット状に凍るような冷え込みのなか心も体も温まる。
今夜は熟睡だ。

11日朝4時半起床、気温計の表示-9℃、不用意な場所に置いたスクイズボトルは中の水が凍結して膨らんでしまった、水を飲むことも捨てることも出来ずリュックの重りとなる。
これも教訓。

朝食を済ませ小屋を掃除し6時半出発、編笠山を目指す。大小の岩がごろごろしておりアイゼンが安定せず歩きにくい。中腹まで登ると朝日を浴びて周囲の景色が赤く染まる、体も温まり指先の感覚も戻る。

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編笠山に向かう途中でご来光を迎えました。

 

快晴の頂上でぐるりと周囲360度を見渡し、写真撮影。磁石にルートの方角をセットして下山する。

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編笠山山頂着いたどー。

 

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編笠山山頂から日の出と富士山

 

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編笠山山頂からギボシと権現岳

 

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編笠山の山頂から木曽駒ヶ岳方面

再び大小の岩がごろごろしており歩きにくいうえ迷いやすい地形となる、すこし左にルート探しをして樹林帯に入る。

どんどん樹林帯を下っていくと登ってくる登山者がいる、4パーティー程すれ違ったか、皆小型リュックなので岳Lの特大リュックを見て目を丸くする。
盃流しがどこか不明のまま車道に出てしまい駐車場に到着、無事下山の握手をする。

車で数分、八峯苑鹿の湯に到着、10時の開園を待つ、ホテルの風呂を宿泊客チェックアウト後は銭湯にしている様子。
他にも開園待ちする人がいて繁盛している、近所の別荘エリアから朝風呂利用しに来ているのかもしれない。
入浴後、中央道で帰路に着く、道中“あれが××岳だ”“△△岳の頂上がその横に出ている”と山のパノラマ風景に車内が盛り上がるが、脇見のできない運転手の岳Lには大変気の毒なことをしてしまった。

自分は今回の山行で新しい手袋とズボンを試した。
皮とゴアテックスの防水手袋は手汗でインナーが膨張して脱げなくなり半日で不合格(涙)。
代わりにフーちゃんがくれた(有難う!)内側がボア処理されたゴム手袋をオーバー手袋とセットにして権現岳往復で試したところ問題なく快適だった、インナー手袋を追加して翌朝冷えきったピッケルを持つとさすがに手が凍えたが、これはピッケル側で対処することにする。
2日間タイツなしで行動したがズボンが風を通さないせいか寒さは気にならなかった、2日目はオーバーズボンなしで行動したが寒さが気になることはなく足の動きが軽くて楽だった。

充実した冬山トレーニングをさせて頂き大変ありがとう御座いました。

丹後山:春合宿

【山域】越後 丹後山(1,808.5m)~ 兎岳
【メンバー】(L)sobe、morimaro、koma、komamino
【期日】5月3日〜4日 5日(予備日)

5月3日(火)
7:00十字峡登山センター~7:34栃ノ木橋~7:40丹後山登山口~8:05 一合目(鉄砲平)
~9:00三合目~10:05 1450m付近~11:00しし岩(八合目)~11:30山頂~12:00丹後山避難小屋発
~13:00四合目~13:15三合目~14:15丹後山登山口~15:00十字峡登山センター着

低気圧の通過による荒天が明らかだったので、日帰りで丹後山往復に行動予定を変更した。

前夜の2日(月)22時にJR橋本駅に集合し、komaさんの車にsobe、komaminoの3人で出発した。
morimaroくんは群馬の実家に戻っていることもあり、シャクナゲ観光センター駐車場で落ち合うことにした。

予定通りの出発であったが、鶴ヶ島ジャンクションに気がつかず、圏央道をそのまま突っ走ってしまった。
『あっちが関越じゃないの?』と間違いに気がつき、坂戸ICで聞き返すことにした。
前にも同じことを経験したが、どこだったかなとkomaさんと会話をしたが、思い出せない。
対処方法は理解していた。料金所のおじさんに事情を説明し料金を払うことなくUターンさせてもらった。

関越自動車道に戻り、順調に進むと思われたが事故渋滞が発生。
六日町ICまでの間に3件ほどの事故に遭遇した。
結局50分ほどの時間ロスであった。
シャクナゲ観光センターの駐車場には車が1台駐車中であった。
morimaroくんの車だ。
午前2時少し過ぎに到着した。
駐車場にテントを張り就寝についた。
午前3時である。

翌日3日(火)は5時30分起床し、十字峡登山センターに向け出発した。
登山センター前の駐車場には車が数台止まっていた。
山菜取りの客のようだ。

シャクナゲ観光センターを出発前に、天候について話あった。
3日は終日好天であるが、夜遅くから4日の午前中まで低気圧の通過に伴い天候は悪くなる。
morimaroくんから「丹後山までの日帰りも想定したらどうか」との意見があった。
十字峡登山センターまで車が入れるので日帰りも十分に可能である。
また天気の回復が遅れた場合、兎岳への登山は断念し下山することになる。
新人のkomaminoさんも初の合宿参加なので、荒天の中を下山するリスクを考えると無理をせず丹後山までの日帰りに計画を変更した。

装備類は日帰り登山用に変更、不要なものは車に残し、7:00に登山センター駐車場を出発した。
丹後山 登山口となる栃ノ木橋までの林道をゆっくりと歩いていく。

図4

春とは思えず初夏に近い陽気、風は生温い。

図2

林道には一部沢筋から落ちてきたと思われる雪があるものの、全くと言っていいほど雪も残ってなかった。

図3

見渡す山々も初夏並みの残雪程度であった。
この季節のこの林道は残雪に覆われ、雪の斜面をトラバースしながらの歩行となるようだ。
気を抜くと雪解け水で勢いのある三国川に落ちかねない。
ここもまた核心部になるようだ。

雪が無いおかげか、コースタイムより20分ほど早く栃ノ木橋に到着した。
橋を渡るとすぐに登山口のような踏み跡があるが、これは作業用に作られた踏み跡らしい。

丹後山 登山口まで50mの標識もあり、間違えることはない。
指示通り50mほど進むと丹後山 登山口が現れた。
そのまま登山口を進む。
いきなりの急登で大変だが、日帰りのため荷物が軽くなった分、楽に登れたように思う。

図5

30分ほど登ると鉄砲平と名前のついた一合目にでた。
何か言われでもあるのだろうかとしばし考えるが、どうでもいいことだ。

急登はまだまだ続く。
日向山への登りも登り始めは急登であった。
このあたりの山の特徴なのだろうか。
おまけに虫も多い。
花の季節は虫が多いことは知っているが、やはり邪魔だ。

シャクナゲや淡いピンク色をした花(名前がわからない。)が群生している。

図6

図16

シャクナゲはピンク色、赤色があり、登山口付近ではピンク色が群れ、ほとんど終わりかけていた。
標高を上げていくと赤色に移り変り、これからが見頃になっていくだろう。

4合目付近までは急登が続き、ちょっと厄介であり、雨の中の下山は嫌だなと思った。
新人のkomaminoさんも順調に登っている。
ウッドシャフトのピケルを持ち、山登りの歴史を感じる。

図8

東側の稜線に目を向けると、稜線上は雲に覆われ始めていた。
低気圧が日本海を北上するため、南側からの湿った風を巻き込んでくる。
そのため、東側の稜線上には雲が湧いてきたのだろう。
そのほか見渡す限り見通しは良く、順調に丹後山までは行ける。

図7

阿寺山からの稜線の先には五竜岳までも良く望め、日向山の先には中ノ岳が大きく居座っていた。
中ノ岳までの稜線を眺めていると、昨年11月の会山行で登った道程がまだ記憶にあり、懐かしく思い出す。
山域を集中して登ることはいいものだなと思った。

1,450m付近の稜線上からは風が強くなるが、天候が崩れる様子はない。
まだまだお陽様は降り注いでいる。
5合目付近から残雪が姿を出し始め、ザラメ状の雪に足を取られながらの歩行となった。
komaさんは足の痙攣のため、若干ペースダウンした。寝不足の影響なのだろうか。

図9

11:00に展望が開け、8合目の獅子岩だ。
風はますます強くなる。
熊笹の群生した上に残雪、その上を尾根の南側を登っていく。
途中、耐風姿勢を何度も取らなければならない強風。
風速40m以上はあったのでは?
こんなに強い風は、sobeは過去の経験を思い返しても見当たらない。
ザラメ状の雪が鉄砲玉のように容赦なく頬に打ち付ける。
痛い。

図10

図11

20分ほど耐えながら登ると避難小屋が見えてきた。

先行のmorimaroくんが見えない。
丹後山山頂に先に行ったのだと思うのだが、
山頂が見えてきても、morimaroくんの姿が見えない。
近づくと、三角点付近に熊笹よりも姿勢を低くしてうずくまっていた。
体調が悪いわけではなく、強風を避けるための姿勢だった。
ほとんど寝転んでいる状態だ。

図12

図14

山頂は展望も良く、見渡す稜線はなんとも言えず美しい。

風さえなければいつまでも眺めていたい風景だ。

大水上山、兎岳から中ノ岳に続く稜線は見ているだけで気持ち良く、思わず歩きたくなる。
丹後山から中ノ岳の稜線が残ってしまった。
次の機会は必ずここを計画するだろう。

山頂では長居は無用。
写真撮影をし、早々に引き返す。
一旦避難小屋に立ち寄り、身支度を整え直して下山に向かった。

図15

やはり山頂直下の南側の斜面は風が強く、度々耐風姿勢を取らなければならなかった。
獅子岩から下の雪の斜面で、komaさんとkomaminoさんはアイゼンを付け下った。
ザラメ状であっても、アイゼンを付けることで安心感を得られたようだ。

登山口には14:15到着。
12時に避難小屋を出発しわずか2時間15分で下ったことになる。
駐車場には15時到着。
まだ雨は降っていないが、登山センターでも風が強くなっている。
登山センターに泊まり、山談義に花を咲かせた。

図17

赤岳天狗尾根~ツルネ東稜

2016年3月20日~21日、僕等は八ヶ岳東面のバリエーションの入門ルート、天狗尾根~ツルネ東稜に入った。

メンバーは3人。
天狗尾根8年ぶりnavetakeリーダー。
バリエーション初体験の体力自慢Kobさん。
積雪期バリエーションはまだ4回目の僕。

全員バリエーション自体久しぶり。
10月に計画した谷川岳東尾根も、2月の阿弥陀北稜もお天道様とのタイミングがあわず実現しなかった。
この2つが実現していれば3月はもう少しレベルの高いルートに入れたかもしれないと思うが、それはそれ。
山で遊ぶ限りしょうがないこと。
これからも山に入り続ければいいことだ。

無事、完登し、帰宅できて、また山に入れること。
それを一番の喜びとしよう。

今回は三連休。
土日で登り、月曜を予備日としていたが、お天気にあわせ日曜日で登り月曜に下山したことで、山上の素晴らしい世界を味わえた。
自然のリズムにあわせて遊べる環境にいることに感謝しかない。

日曜日、午前3時津久井湖そばの水の苑地付近で、Kobさんの車にピックアップ頂き、一路、八ヶ岳東面へ。
1時間半程で到着。
最近、関越方面が多かったので、とても早く感じる。
奥多摩、丹沢、奥秩父、八ヶ岳にも近い相模原。
山遊びするには本当に恵まれた土地である。

美し森駐車場には雪が全く無い。
それほど寒くもない。
日中は気温もあがりそうだ。

行動中の水分に不安があったので、清里駅前に一旦戻り自動販売機で水を補給し、再度、駐車場へ。
出発の頃にはヘッドランプが必要ない明るさになった。
5時40分頃、駐車場を出発。

林道をひたすら進む。
時折、着衣調整しながら歩き続ける。
地獄谷の沢沿いに来ると雪が出てきた。
渡渉時の岩が凍りついていて滑って怖かった。
何度か靴を水に浸してしまったが、全く中まで染み込んでこなかった。

僕の冬靴ファントムガイドは中々の優れもののようだ。
これまでの冬の山行でも靴下を履き替えたことは一度もない。
透湿性も保温性も素晴らしい。
長い林道歩きの時は少し靴ずれが辛いが…。

林道も終わり、大きな堰堤をいくつか越え、渡渉を4~5回繰り返すと出合い小屋に着いた。
7時40分頃。

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出合い小屋の少し手前で2パーティーと出会った。
僕等と同郷の相模ACは、上ノ権現沢へアイスクライミングへ。
川崎の名門Sクラブは僕等と同じ天狗尾根へ向う。

牛首山にも雪が見えない。
ワカンとストックを小屋の裏側へデポした。
アイゼンとスパッツを装着。

小屋を出てほどなく赤岳沢への分岐が。
看板もある。
地形図で見ると天狗尾根の末端から取り付いた方が楽に見え進言したが、navetakeさんは昔、末端から取り付き藪で苦労したらしい。
僕はあっさり前言撤回。
経験者がいるとやはり心強い。

軽くルンゼ上になっている場所に赤テープがあり、少し登るとあっさり尾根に上がれた。

尾根をしばらく登り続ける。
ラッセルも吹き溜まりで少しある程度。

標高差500m尾根を登り続けた。
先行していたSクラブと混成パーティーの様相になった。

時折開ける視界から、雪をつけた天狗尾根の岩稜が紺碧の空の中、くっきりと姿を現す。
たまらない。
期待に胸を膨らませ歓声をあげた。

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11時過ぎ、カニのハサミと岩稜取り付きに着く。
小休止して岩稜へ。

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三級程度の岩場。
昨夏に天狗尾根を登ったSクラブの面々はフリーで突破。
僕等もフリーで行けなくはないと思うが、久しぶりのバリエーションのため、念のためロープを出した。
ここでもう1パーティ後続が合流した。

1ピッチ目は僕がリード。
小さな草付きの壁と雪稜をそのままロープを伸ばし、50mロープ一杯で支点を作った。

2番目の岩稜へ。
Sクラブは右側の古いザイルに沿ってトラバースし回りこんで雪のルンゼを登っていた。

僕等は左の小さなバンドに向かって左上してからルンゼを直上するルートを選んだ。
リードはnavetakeさん。
下からは灌木が少なく支点が乏しく見えるが、丁度良いところに古いハーケンがあった。
プルージックでKobさんが続く。

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僕はラスト。三級上というところか。
久しぶりの緊張感に心が踊り身が引きしまる。

怖がるな、リラックスしろ。
必要以上に力を入れそうになる自分の体と対話しながら登るこの感覚。
最高だ。
これを昨年の石尊稜以来求め続けていたんだ。

一旦、ロープをザックにしまい、しばらく脆い岩混じりの草付きを歩く。

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大きな岩峰を右からまくと、小さな雪稜と雪面のトラバース。
Sクラブはロープを出して念のため確保。
僕等はフリーで進んだ。
バリエーションに正解はない。
登れたか登れなかったか、降りれたか降りれなかったか。
結果があるだけ。

大天狗手前で岩と草付きのミックス壁が現れた。
僕がリード。

navetakeリーダーは右へのトラバースを薦めたが、僕には草付きの直上の方が安全に見える。
ロープを出してもう少し進んでから判断することにした。

草付き下に行くと確かに逆層ではあるがしっかりアイゼンも効きそうだし、手もある、支点のとれる灌木もある。
一方右へのトラバースは雪が脆くて少し怖く見える。

僕は直上ルートを選んだ。
3~5m直上して、10m程の雪稜を進み、小さなピナクルで支点を取ろうとするが少しぐらついた。
5m先のダケカンバに支点を取って、声をかけ皆を待つ。
「gakuさーん、登っていいのー?」声が聞こえる。僕の声は届いていなかったようだ。
もう一度声をかけて、大天狗を観察したり、ルンゼから登ってくるSクラブの方とお話したりする。
Kobさんが少し時間をかけて登ってきた。
間もなくnavetakeさんが合流。

次はnavetakeさんリード。

大天狗は右のバンドに向かってトラバース気味に登る。
Kobさん中間エイトで、僕が後に続いたが、これは怖かった。
僕とKobさんの間に支点がない場合、Kobさんが落ちると僕も間違いなく引きずり込まれる。
どうか落ちないでくれと祈りながら、Kobさんを追いかけるように登攀した。

岩を抱くようにしてトラバースする部分だけ少しいやらしいが他は2級程度の登り。
まるでゲレンデのような立派なハンガーボルトで確保してもらいながら、
大天狗の創りだす雪の急斜面を僕がリード&トラバースした。

余り行き過ぎると声が届かないのとその先には支点が無さそうに見える。
凍りついた貧弱な木の根に支点をとって、皆を待つ。

日も傾いてきて温度が下がってきた。おまけにここは大天狗のお陰で完全なる日陰。
アルパインジャケットの下は薄っぺらい肌着とTシャツ。
「はよ、来てくれ~、さぶいよう」
足先も手先も体全身が冷えてきた。

全員が合流し、小天狗と大天狗の間のコルへ。
ここからはロープは必要なさそうに見えるが、念のためコンテで小天狗上まで。
雪稜手前でロープをしまい小休止。
僕はフリースを中に着込んだ。

Sクラブの面々も追いつき、お互いに小天狗と権現岳をバックに完登を祝って記念写真を撮った。

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急な雪稜を登り、稜線に出ると鎖場とハシゴが。
どうやら登山道に出たようだ。

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大天狗(右)と小天狗(左)

 

阿弥陀岳南陵のスカイラインの向こう側から斜めに差し込む太陽が、権現岳へと延びる稜線を歩く小さな僕達を照らす。
素晴らしい景色に何度も何度もシャッターを押した。

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阿弥陀岳の向こうに夕日が沈む。

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しあわせだ。

キレット小屋までの下りは急で脆いガレ場、急な雪渓、細い細いトラバースと中々に緊張を強いられるルートだ。

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17時半頃、キレット小屋手前のピーク手前のコルに、一張分の幕営地があったため、僕等はそこにテントを張った。

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早朝発と12時間の行動疲れで酔いが回るのが早い。
何度も水をこぼし、食事と明日の行動用の水を作るのに随分と手間取り、寝袋に潜り込んだのは21時過ぎとなった。
navetakeリーダーが用意してくれたすき焼きとうどんはあっという間に平らげた。

翌日は少し寝坊し5時半頃起床。
6時半頃出発した。

昨日とはうって変わって雲に包まれた世界。

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風も強く手先、足先が冷えてきた。
僕のテムレスは二年物でところどころ穴があいているらしく、途中でオーバー手袋をつけた。
バラクラバをつけるほどではないが、頬が冷たいので、フードを被ってツルネまでKobさんを先頭に登っていく。

ツルネ東稜の取り付きについてからは、何度も尾根の分岐が現れるので丁寧に現在地を確認しながら歩いた。
トレースはほぼない。

下り始めると雪はどんどん柔らかくなり、一度ハマると太もも上までまるごと足がハマり、雪と格闘しながら下った。

ワカンを持ってこなかったことをボヤくと、navetakeさんはこれぐらいは予想していたし、下りだから全く問題ないとのこと。
さすがである。

標高を下げるにつれて風もないし太陽も差し込み、温度もあがる。
時折斜面にはデブリがあり、いやらしいトラバースも強いられたが、問題なくツルネ東稜を下り出合い小屋まで降りた。
着いたのは10時過ぎだったように思う。

アルパインジャケットとオーバーパンツを脱いで、アイゼンとスパッツも外した。
大きく膨らんだザックを背負って歩き出す。

昨日は水にハマりながら歩いた渡渉も水の量がかなり減っていて楽に渡れた。

休憩なしで一気に美し森駐車場まで歩いた。
雪のない駐車場には軽装の観光客がいた。もう春だ。

燕岳

【日程】
2016年1月9日~10日
【ルート】
9日:宮城ゲート:8:40分頃~12時頃:中房温泉登山口~16時頃:合戦小屋(幕営)
10日:7時頃合戦小屋~山頂9時10分頃~テント等片付け:合戦小屋:11時20分頃~16時頃:宮城ゲート
【メンバー】
Kobさん、gaku(L)

暁山岳会二年生コンビで、昨年gakuがビビって行かなかった燕岳に行きました。

林道の雪も少なく、他パーティが四組一四名程入っていたためラッセルもほぼ皆無。
一日目は順調に合戦小屋まで上がれました。

二日目、山頂へのトライ。
冬型気圧配置で北西の風が非常に強く、燕山荘から先の稜線の風は甘くありませんでした。
視界も良いとはいえない状況でしたが、
昨年、二人で悪天候の中赤岳を登った経験があったので、自信をもって登頂できました。

来年は中崎尾根~槍ヶ岳ですかね!

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冬合宿 越後駒ヶ岳

【日時】 2015年12月29日(火)~2016年1月1日(金)
【メンバー】 森麻呂さん、シューくん、gakuさん、ヤマケンさん、なべたけ(L)

■そうべえ監督の動画はこちら

■森麻呂さんのBlogはこちら
登頂叶わずとも越後の冬山を堪能! 越後山脈・越後駒ヶ岳 ~前編~
登頂叶わずとも越後の冬山を堪能! 越後山脈・越後駒ヶ岳 ~後編~

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春合宿A隊 裏越後三山

春合宿A行動記録
■山域    越後 裏越後三山
■メンバー  navetake(L、記録) morimaro(気象) Kob(装備) gaku(食事、会計)
■日程    平成27年5月2日(土)~平成27年5月4日(月)

5月2日(土)
天気 快晴
銀山平(7:30)~蛇子沢左岸尾根~荒沢岳の肩直近の稜線(16:20)

神奈川組のKob、gaku、navetakeは、早朝にkobさんの自家用車で、圏央道~関越道で新潟へ向。かう。約4時間ほどで奥只見シルバーラインの入り口に到着。ちょうど6時の開通時間直前で、群馬の実家から合流のmorimaroさんの車が2台前に見えた。
シルバーラインから銀山平へ入り、船着場の駐車場に駐車、取り付きへ向かう。
とぼとぼ歩いていると、現地のパトロールのおじさんが歩くと遠いからと車に乗せてくれた。ロッジ樹湖里の前あたりに20台ほどの駐車スペースがあり、kobさんの車をそちらへ移動することができた。
北ノ又川の広い河原の末端から延びている蛇子沢左岸尾根に取り付く。登り始めると、現地のマタギと思われる貫禄のある方に出会う。少し話しをすると、熊猟に入っているとのこと。「静かにな。頼むぞ。」と声をかけられて、ドキッとした。
快晴の下、なだらかな雪の尾根を快調なペースで登っていく。あまりに快調なので、予定よりかなり先に進めるのではないかと思ったが・・・。
標高1200mあたりから、尾根に雪がなくなり藪こぎになる。ところどころ踏み跡もあるが、ほとんど用をなさない。一気にペースが落ちて、ひどいと10mすすむのにも10分以上かかった。
上部に登っていくと雪渓も出てくるが、すぐにまた藪こぎが待っている。それほど経験が豊富とはいえない我々4人は、越後の濃厚な藪こぎをかなり味わうことができたと思う。

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夕刻、メンバー全員疲労困憊で、荒沢岳の肩の手前の平坦な雪渓上に到着し、幕営地とした。

5月3日(日)
天気 快晴
荒沢岳の肩直近の稜線(5:40)~荒沢岳の肩(6:00)~荒沢岳(6:20~6:30)~兎岳(12:00)~中ノ岳(15:50)~中ノ岳避難小屋(16:05)

4:00起床。5:40に幕営地を後にして荒沢岳の頂上に向かう。荒沢岳の肩に荷物をデポして、頂上をピストンする。
越後駒ケ岳までの縦走路が見渡すことができる。昨日は地獄のような藪こぎだったが、今日は天上の雪稜歩きが予想された。
南東側の巨大雪庇に注意しながら歩を進める。快晴の下、兎岳までの稜線は穏やかで、4人のトレースが長く長く伸びていく。

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雪庇の状態に注意しながら小さなピークを目指したり、樹の間を縫って強い日差しを凌いだりしながら、春の雪山を満喫した。南東方面に遠く望む双耳峰は、燧ケ岳か・・・。その手前に見える広大な山頂は平ヶ岳か・・・。
それにしても、昨日もだったが、今日もとても汗をかく。テルモスのお湯だけではとても足りず、メンバー全員、雪を溶かしては水分をひっきりなしに補給した。
12:00、兎岳の頂上に到着。もしかしたらこの日のうちに駒ケ岳まで行けたらと話していたが、思っていたよりペースは上がらない。兎岳でB隊と交信すると、B隊は、ちょうど駒ケ岳に登頂したところで、中ノ岳には向かわず、小倉岳で幕営するとのことだった。
中ノ岳の稜線を見上げると、1箇所急な雪の斜面が見えた。直登するとなると、けっこう厳しそうだ。
中ノ岳の稜線は日差しを遮るものはなく、午後になり気温はさらに上がって、皆疲労が増していっているようである。じりじりと進んでいくと、気になっていた急斜面のあたりを下ってくる2人の人影がみえる。どこを下りてくるのかと思っていたが、姿がみえなくなった。しばらくしても人影は現れないので、動物だったのかなとも思ったが、稜線の中腹くらいまで進むと先ほどの2人が近くまで下りてきた。
中年の男女のパーティーのようだったが、鳩待峠まで行く予定だったが、明日の天候不良の予報でどうするか思案中とのこと。
上部の急斜面は巻いて下りてきたらしく、1度姿がみえなくなったのはそのためだった。
我々も急斜面の直下まで近づくと、やはり直登はパーティーの力量を考えると困難に感じられた。
トレースは左から伸びている。大きく左に迂回すれば、急斜面を巻いて登れそうか。斜面を慎重にトラバースして、少し緩やかな斜面に出た。トレースも伸びてきているが、そこを登っていけそうだ。
このトラバース箇所で、kobさんが10mほど滑落してしまった。
傾斜があるので強く蹴り込んだところ、足元の雪が崩れてしまった。滑り落ちた雪面はかたくはなくなんとか制動をかけてなだらかになったところで止まることができたが、すぐ後ろは(浅いものではあったが)シュルンドが口を開けており、その後ろは断崖であった。
皆疲労がピークにあるなかで、お互いのケアが欠けてしまったこと、状況判断が甘くなってしまっていたことが要因になっているようだった。リスクがある場面では、状況判断は可能なかぎり厳密にして、できる限りの安全性を考えて、リスクを回避するために、なんらかの労力、代償、犠牲を払う必要があるのだろう。大げさな感じだが、山におけるリスクとは、死につながることなので、そういうことはいえるのかもしれない。
15:50、中ノ岳山頂に到着。直ぐ奥の稜線上に避難小屋が見え、ほっとした。
ちょうど、初老の男性2人パーティーも上がってきたところだった。八海山から縦走していたとのことだが、避難小屋は使わず、山頂の近くでツェルトビバークするとのことで、去っていった・・・。
明日は天候悪化の予報で、早めの行動がいいだろうと、3:00起床を話し合い、19:30ころ就寝した。

5月4日(月)
天気 晴れのち曇り、時々雨
中ノ岳避難小屋(4:25)~越後駒ケ岳(9:10~20)~銀山平(13:30)

3:00起床、4:00すぎには窓の外が明るくなってきている。夜中、風の音が気になったが、外に出ると進軍できないほどではない。昨日の朝と比べると気温は高く、雪面は適度に緩んでいる。天気は午後から崩れるらしい。朝の感じは悪くない。
檜廊下は、両側が切れ落ちた険しい夏道を辿ったり、懸垂氷河のような巨大雪庇が眼前に現れたり、シュルンドの筋がいくつも走る雪渓を横切ったりと、昨日までの山とは違う雄壮な印象だった。

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トレースは伸びてきているが、先の状況がはっきりしない雪庇の箇所で、1度ロープを出して通過した。
だいぶ駒ケ岳の山頂に近づいてきていた開けた雪渓上を進んでいると、最後方を歩いていたmorimaroさんがシュルンドに捕まってしまう!morimaroさんの前を歩いていたgakuさんがすぐに駆け寄り、自身のピッケルを雪面に打ちつけてからmorimaroさんの手を掴む。navetakeも駆け寄り「ザックを下ろして!」と声をかけるが、腰ベルトをしているので外せるわけもなく、morimaroさんの身体はさらにシュルンドに落ちて両腕とザックが支えになって雪面に残っている状態になった。navetakeはmorimaroさんのザックを掴み、2人で引き上げた。morimaroさんの両足は完全に宙に浮いた状態だった。シュルンドの深さは目視で3~5mほどだったが、事なきを得ることができた。
9:00、駒ケ岳山頂直下に到着。荷物をデポして、山頂へ。近くでは山スキーヤーが遊んでいて、山頂では、中年のご夫婦らしきパーティーがのんびりと過ごされていた。日は暖かく、天国に近いような感じの居心地だった。

山頂直下の駒の小屋では、水汲み場が設置されており、充分に水分補給ができた。男性2人が休憩していた。
雪がややくさりかけている急斜面を慎重に下降していく。2~3パーティーとすれ違うが、入山者はそれほど多くはないようだった。
道行山をすぎて、銀山平に近づいてきたころに小雨が降り始めたが、下山まで本降りになりそうな感じはなかった。北ノ又川の河原から石抱橋までの道は、雪崩の兆候もあり、やはり最後まで油断は禁物なのだろう。
13:30、銀山平に下山。白銀の湯に立ち寄る。B隊の下山報告がまだなく心配したが、携帯電話がつながり、もうすぐ銀山平に下山するところだとのこと、下山箇所にお迎えに行く。下山してきたB隊の3人も充実の表情をされていたので、とてもうれしく感じた。全員で、無事下山の握手を交わした。

●morimaroさんの山行記録は以下。
闘魂の裏越後三山縦走 ~地獄の藪漕ぎ編(1日目)~
闘魂の裏越後三山縦走 ~炎の雪稜散歩編(2日目)~
闘魂の裏越後三山縦走 ~越後の主峰堪能編(3日目)~

大佐飛山:栃木百名山

4/18(土)晴れ
メンバー:O竹、navetake、gaku
行程:百村山新登山口~黒滝山~大佐飛山(往復)

前日夜、相模原出発、23時頃O竹さん宅着。ビールを頂き即就寝。

5時にO竹さん宅を出発。
6時50分取付き。16時前に下山しました。

およそ9時間の行程。

黒滝山~大佐飛山の空中回廊は、
那須連山も望め栃木の山の織り成す曲線美を満喫できました。

土曜の晩もO竹さん宅で美味しい晩御飯を、
お腹がはちきれそうな程頂きました。

翌朝、奥様と近所にわらび取りに行きました。
わらび、たくさんとれました。

山菜のおみやげを手に下道で相模原まで、
ノタリノタリと帰宅しました。