期 日:2019年8月16日(金)~8月17日(土)
参加者:Lそうべぇ、メイメイ
8月16日(金)
島々・安曇支所前(6:06)=上高地(7:05~8:00)-徳本峠(11:30)
徳本峠クラッシクルートは島々谷から上高地に抜ける峠道。古く歴史に残る名門ルートである。上高地までの道が開通していなかった当時は、島々谷からこの峠道を経由し上高地まで2日ほどかかり歩かれていた。その距離は20km。釜トンネルの開通以降バスで上高地まで入れるので、今では上高地が北アルプスの起点となり、この峠道は忘れられたような存在となっているのではないだろうか。その分静かな山歩きができることが期待できる。私は、50周年記念山行の計画中にも、上高地から松本駅までの国道をランニングすることを考えていた。地図を一緒に見ていたさっちが、「徳本峠越えのクラシックルートは憧れなんだよね。」との一言でこの山行を計画した。8月の爽やかな夏を感じながらの峠越えを期待した。
8月4日に発生した台風10号(Krosa)は発生時点で「大型」の台風であった。私たちの山行は16日なので、台風一過の爽やかな山歩きができると信じていた。台風ははじめマリアナ諸島近海を北西に進んでいたが、8日頃から11日頃にかけてほとんど停滞し、8日には勢力のピークを迎えた。その後徐々に勢力を落とし、11日昼ごろから再び北西に進み始めたものの衰弱していった。暴風域が消滅した12日には平成29年の台風21号以来の「超大型」の台風となったが強風域が縮小し「大型」の台風に戻りつつ再発達した。勢力は弱まったものの太平洋沿岸においては風が強まり、高知県の室戸岬では15日8時に最大瞬間風速41.1メートルが観測された。中国地方を暴風域に巻込みながら豊後水道を北上、15日11時には愛知県佐多岬半島を通過。その後も勢力は衰えることなく同日15時ごろ広島県呉市付近に上陸した。その後台風10号は日本海に抜け、日本海を北上し16日21時に北海道の西、北緯43度、東経138度で温帯低気圧に変わりその後消滅した。横浜からの移動中の車の中では「台風の影響はないよね。」「ない!ない!」。と何度も自問自答を繰り返し、松本に向かったのであった。島々谷から峠越えが正しいルートなのだが、台風の影響で登山道が荒れているのではないかと思い、逆ルートの上高地から入山することにした。台風の影響を多少心配しての配慮だった。安曇支所駐車場(無料、届け等の連絡不要。自己責任で駐車可能)で仮眠中に雨が降ったが翌朝出発時には雨は上がっていた。
安曇支所前バス停からバスに乗り上高地に向かった。雨は徐々に降り始め、上高地到着時には本降りの雨になっていた。それでもまだ雨は上がると信じた。雨が降っているのに登山者や観光客で静かに賑わい、私たちもカッパを着込み徳本峠へと向かった。久しぶりに歩く上高地は懐かしく、小梨平のキャンプ場、明神へと歩きながら昔登山に来ていた頃を思い出していた。カッパを叩く雨音が強く、歩きながらの会話もままならず黙々と歩く。「さっちは楽しいのだろうか。きっとつまらないだろうな。」などと想像しながら歩いているうちに徳本峠に到着した。あっと言う間だった。
テント場にはテントが一張り張られていた。私たちもテント泊予定だったが、土砂降りの雨に濡れ寒く、テントを張る元気も気力もモチベーションも無くなっていたので徳本峠小屋へ泊めてもらうことにした。小屋番と島々谷から峠越えの話をしたら、台風の影響で沢が決壊しているかもしれないので、明日の下山に利用するのは控えた方が良いとのアドバイスがあった。無事に山小屋に泊まれ、やることも無く午後はのんびりとお酒で温まりながら夫婦水入らずで、山談義を楽しんだ。
8月17日(土)
徳本峠小屋(6:20)-ジャンクションピーク(7:18)-徳本峠(8:15)-上高地=島々安曇支所前(11:15)
17日は雨も上がっていたので峠から島々谷への下山も考えたが、小屋番のアドバイスに従うこととした。知った道、先人の経験と知らない道、無知から起こるリスクは計りしれない。このまま、上高地に下山するのももったいないので、霞沢岳への途中にある2428mのジャンクションピークまで行ってみることとした。山小屋に泊まっていた私たちより年配のお姉さまたちが、楽しそうに会話をしながら登っている。霞沢岳まで往復し今日も峠に泊まる予定だとのこと。私たちも時間が取れるようになったら「いっぱい山に登ってやるぞ!」と思いつつ上高地まで下山した。
(記 そうべえ)