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<地理>三国山脈の清水峠より北側
<主要な山>巻機山、八海山

会山行A隊 巻機山

期 日:2020年12月5日~6日
参加者 Lオヨシ、こま、コバヤン、りこ、ヒー

12月5日(土)晴れ
桜坂駐車場(9:30)-六合目(12:20)-1450m付近(13:00〜13:20)-七合目(14:30)-1450m付近(15:00)幕営

コロナ禍で春から自粛が続いた会山行。冬の訪れを感じる12月上旬、ようやくトレーニング山行を実施。雪を求めて越後の巻機山へ。今回は2隊に分かれ、A隊は七合目付近で幕営し山頂ピストン、B隊(そうべぇ、みの、いずっこ)は日帰りで七合目で引き返す計画である。

豪雪地帯である六日町、例年に比べて積雪は少なめ。一週間前の偵察時はかろうじて雪山らしさが残っていたが、その後は晴天が続き、かなり雪融けが進んでしまった。仮に大雪が降ると、桜坂駐車場の最寄りの清水バス停より二つ手前の西谷後バス停付近に駐車し、そこから駐車場までラッセルしなけばならない。

各々装備を整え出発。駐車場から間もなくして井戸尾根と割引沢・ヌクビ沢との分岐。次回は沢にチャレンジしてみたい。五合目までは雪融けで登山道が泥濘み混じり、全くテンションが上がらない。メンバーの会話も徐々に減ってくる。五合目で一休み、その先の登山道を見上げても雪の姿はない。日帰りB隊はこのまま雪を踏まずに下山するのだろうか…と不安がよぎる。しかし心配は無用であった。六合目までくると脛下まで積雪があった。

A隊の幕営地として予定していた1400m付近まで登ってきたが、どこも藪が出てしまっており、もう少し先の1450m付近を幕営地とした。B隊に整地を手伝ってもらい、各々テントを設営。一汗書いてくれたB隊の下山を見送ったあと、A隊はワカンを履いて七合目のなだらかな斜面を歩行、ワカンの感覚を思い出す。日が暮れる前にテントに戻り、翌日に備えて早めに就寝する。

12月6日(日)晴れ
幕営地(5:30)-八合目(6:40)-九合目(7:10)-巻機山(8:15〜8:30)-桜坂駐車場(12:40)

翌朝は4時過ぎに起床、朝食と仕度を1時間ほどで済ませて出発。七合目から先はいい感じの積雪。

八合目から先の様子

九合目のニセ巻機山が見えてきた頃にご来光、少し霧がかっている。

九合目から見たご来光

巻機山避難小屋前で小休止を取り、山頂を目指して直登する。

雪に映る人影が面白い

斜面には山スキーのシュプールがいくつも残っている。ほどなくして山頂に到着、積雪は1m程度だろうか。風が強く肌寒いので、手早く記念撮影を済ませる。

登ってきた尾根を振り返ると、雲海が広がり清々しい。

尾根と雲海のコラボ

避難小屋まで思い思いに駆け下りる。沈む前に次の一歩を出す、斜度があるので意外とスピードが出る。確かに、この斜面をスキーで滑るのは楽しそうだ。そのままの勢いで幕営地まで戻り、テントを撤収。六合目から下は前日よりも泥濘んでいて、転倒しないように注意しながら下る。お昼過ぎに駐車場へ到着。水道で汚れた装備を洗い流し、スッキリした気持ちで帰路についた。

(記 オヨシ)

巻機山

期 日:2019年11月3日
参加者:いずっこ、他1名(非会員)

11月3日(日)曇り
桜坂駐車場(7:07)-六合目展望台(9:10)-巻機山(10:40)-桜坂駐車場(14:12)

予定通りに宿を出発し、予定通りに駐車場に到着したが、巻機山の駐車場は一杯だった。想定外だったのは、巻機山が多くの登山者に好まれる山だということだった。駐車場手前の道路脇に駐車し出発した。駐車場から巻機山へはいくつかのルートがある。私はできるだけ違う道を歩きたい派なので、このような場合は極力周回コースにするが、今回は迷わずオーソドックスなコースである井戸尾根のピストンにした。前日に続いての登山であることと、ほかが破線ルートである沢だということが理由だった。オーソドックスなコースということでとても多くの登山者がいた。もちろん思い起こす場面はあるが、正直あまり印象は強くない。一番印象深いのは、山頂の手前の分岐には「巻機山頂」と書かれた立派な標柱があったのに比べ、巻機山の山頂が非常に殺風景だったことだ。

殺風景な巻機山山頂
立派な巻機山の標柱

石を積んだケルンにそこらへんに落ちていただろう枝が刺してあるだけ。その後分岐まで戻って立派な標柱の前で昼食を取り、下山した。

色付く登山道脇

前日に続き紅葉を期待しての登山だったが、期待していたほどキレイだとは思わなかった。同じ木々の紅葉を同じ場所から見ても年によって違う。木々も生きている。機嫌が良い時もあれば悪い時もある。次は機嫌のよい時の紅葉を見てみたい。

(記 いずっこ)

冬合宿 八海山

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【行動記録】
期間:2016年12月30日(金)〜2017年1月1日(日)
メンバー:なべ岳(CL)、ガク(SL)、ふーみん、みのさん

12月30日(金) 曇り時々雪
前夜21:30、橋本駅集合。この日の午後、ざき山さんから肋骨骨折のため合宿に参加できなくなったと連絡があった。受傷は最終準備会の前だったようだ。準備会の時は元気で、合宿をとても楽しみにしていた様子だった。パッキングしたザックを背負った際に違和感が強かったようだ。本人がいちばん残念だろう。おー岳さん、しゅー君も参加予定だったが、12月に入ってから2人とも不参加になった。六日町に向かうメンバー4人を乗せたガクデリカ号は、少し心のこりも乗せていた。
群馬県に入り、雪が降り始める。30日にかけて冬型の気圧配置になる予報。関越トンネルを抜けると、大雪の様相だった。当初、八海山ロープウェイの駐車場まで入ることを考えていた。しかし駐車場で幕営だとかなり濡れることになりそうだ。できたら屋根のあるところで幕営したい。六日町IC近くのイオンモールの駐車場を物色する。おおお、広い軒下は幕営に快適そうだ。モール内のトイレも使える。早速テントを張ったが、警備員が巡回してきて、テントを撤収。ガクさんとふーみんはデリカ泊した。みのさんとなべ岳は、軒下やモール内のベンチで朝までやり過ごす。

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朝7:00頃、イオンを出発。終夜、駐車場は除雪車が動きまわっていた。雪は少し小降りになってきている。
8:00頃ロープウェイ駐車場着。切符売り場で、計画書を提出する。除雪作業で車を動かすかもしれないのでと説明され、デリカの鍵も渡す。本日までに登山届を出しているパーティーは他にはいないらしい。
ロープウェイでおよそ5分、山頂駅へ。駅から15mほどラッセルして登ると、尾根の登山道に出た。トレースはない。尾根からは、スキーヤーやスノーボーダーの姿が見える。
9:30、女人堂へ向けてラッセル開始。昨年の越後駒ヶ岳の時も積雪が少ないと言われていたが、今回はさらに少ない。女人堂までの積雪は、吹き溜まりで腰〜腹。概ね、膝上のラッセルだった。

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冬合宿初参加のふーみんはラッセルの経験がほとんどない。苦労している様子で一所懸命に歩を進める。池の峰の手前で、後ろから若い男女2人が追いついてきた。2人はスノーシューを履いていたので、無理せず先頭を譲るようになべ岳からふーみんに声をかけたが、もっとガンバりたかったようである。ふーみんは、ガッツのかたまりだ。暁入会2年目、登山歴はほぼ同じ。この2年間で100日近く山に入っている・・・。きっと彼女は山に取り憑かれてしまったのだろう。
みのさんは暁入会1年目、登山歴は長い。年末年始は、例年北岳に単独で過ごしてきた。アイアンマンでテルマエロマエなお方である。今回は、スノーシューで冬合宿初参戦されてきたが、思ったようなフットワークが得られていないようだ。特に傾斜が強くなると、戦力にならないようだった。スノーシューでもMSRのライトニングアッセントのように登りの性能も高いと言われているモデルもある。みのさんが持参したものは登りには強くはないようだった。ワカンと比べて総合的に取り回しの良いのはどちらなのだろうか?
池の峰12:30頃着。若い男女パーティーは、もともと日帰りで女人堂往復の予定らしかったが、池の峰の手前で、引き返したようだ。

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たっぷりと生クリームを盛り付けたような雪の世界に、4人でひとすじの道をつくっていく。
間違いやすそうな箇所に、標識棒と赤布を残置した。雪は安定しているようで、なだらかな尾根と谷のどこを歩いても良かった。先頭を歩く者は、荷を下ろして空身で雪と戯れる。ラッセルを交代しながらおもいおもいに歩を進めた。
女人堂方面はガスで隠れているが、視界は悪くなく、200m先くらいは見渡せた。地形図を良く見て、実際の地形と見比べることができたら、適切なルートファインディングの大きな材料になる。なべ岳が先頭の時、地形図に出ていた小さな尾根を見落としてしまい、少し大回りしてしまった。ルートファインディングはトレースがない雪山を歩く時、大きな楽しみだ。
地形図だけを頼りにルートを見つけて目的地にたどりつくことは、理にかなっていないような気がしている。地形図に表れない地形もあると思うし、何かプラスアルファなものがあるような気がしている。経験や勘だけではない、山とのつながり。自分を通しての、自分以外のメンバーを通しての、またメンバー同士の。(その意味で、なべ岳はメンバーにずいぶん助けられてる。)
4人で順調に進軍する。と、一瞬ガスが薄くなり、浅草岳手前の小高いピークに女人堂が見えた。
女人堂直下が1日目の核心になるだろうと、偵察山行を経て考えていた。しかし、実際は異なっていた。当初、核心と考えていたのは、トラバースの箇所だった。雪崩の可能性があるので、ルートファインディングを慎重にする必要があると想定した。トラバースの箇所から念のためロープを出したが、雪は安定していて雪崩のリスクは低いように感じられた。
問題は、その直後の最後の急登だった。なべ岳は、雪崩のリスクが低いのでロープなしでもと思ったが、ガクさんはロープがあったほうがいいという。ガクさんがトップでロープを伸ばす。なかなか足場が固まらず、苦労している。30mほど登ったところで傾斜がさらに強くなったのか、1mほどズリ落ちた。そのあとルート取りを変えた。じりじりと登っているのがロープを通しても感じられる。ビレイヤーのなべ岳と、待機するふーみんとみのさんは、次第に体温が下がるのを感じ、変な歌を歌ったり、夕食のメニューを連呼したりしてやり過ごす。
ガクさんからビレイ解除のコールがあり、ひと安心。みのさん、ふーみんがフリクションヒッチでロープをたどっていく。ふーみんも上部の傾斜が強くなった箇所で苦労した。自力だけでは登れなかったようで、ガクさんにロープで引き上げてもらったらしい。
最後になべ岳が登る。女人堂は目の前で、これで本日の行動終了。
女人堂周辺の積雪は、腿〜腰ほど。 本日は、我々4人で小屋を貸し切りだった。
ちなみに、この日の夕食はキムチ鍋!食当のふーみんが、バターを入れてくれてコクが増し、とても美味だった。やはりご飯が美味しいと、エネルギーが増す感じがする。
電波が入るので、スマホで明日の天気をヤマテンの予報と、予想天気図でチェックする。
新潟は高気圧に覆われているが気圧の谷の影響で、昼頃から雪の予報だ。朝までは晴れで安定している。未明から行動できれば、不動岳まで登れる可能性が高まるが、雪崩のリスクがある薬師岳は、明るくなってから斜面を確認したい・・・。
今回の冬合宿には、頼りになるもりまろさんもおー岳さんもいない。リーダー以下、経験が豊富で冬山で適切な判断ができるメンバー構成ではない。不動岳まで登るとしたら、天候、積雪状態、メンバーのコンディションなど、条件がしっかり揃わないと難しいだろうと考えていた。

12月31日(土) 曇りのち雪
4:00起床、6:00出発。まだ夜明け前で、闇の中をヘッ電をつけて行動開始。兎の足跡が、ルートファインディングのアドバイスをくれる。コンパスで進行方向を頻繁に確認してゆっくり登っていく。30分ほどで日の出の時間になり、明るくなる。
薬師岳の麓についたのは7:00前頃。頂上までの急登のルート取りを確認する。登山道は、斜面右よりの沢筋を渡って、右のスカイラインに向かう左岸の尾根についている。登山道は雪崩のリスクがあることをおー岳さんから言われていて、偵察時に確認していたが、斜面右よりの沢筋は、ゲレンデのような綺麗な雪面になっていて、雪崩地形なのは一目瞭然であった。積雪は安定しているようなので、沢を渡って左岸の尾根を登ることを選択できるかもしれない。しかし、右岸の尾根は頂上方面に伸びており、傾斜はそれほど急でなく大きな困難な箇所はないように見えたので、素直に右岸の尾根をルートに選ぶことができた。

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先頭を登るガクさんはサングラスを家に忘れてしまった。晴れることはなかったので問題ないかと思ったが、白い斜面では凹凸を読み取ることが難しかったようだ。それでも、尾根を忠実に辿り、8:50に薬師岳の頂上に抜けることができた。
薬師岳の頂上は、偵察時とは様相が大きく変わっていた。八ツ峰に向かって左側に大きな雪庇が形成されている。千本檜小屋がなぜかやけに近くに見える。
千本檜小屋に下りる急斜面の手前まで進んで、八ツ峰の様子を窺う。雲は低く垂れこんできており、八ツ峰の稜線は、雲にかかりぼんやりしている。
偵察時は薬師岳頂上まで登ったが、その先には進まなかった。相談して、とりあえず、千本檜小屋まで下りてみることにした。
小屋は、冬季は営業していないが、45周年記念山行で利用した部屋のドアは鍵がかかっておらず入ることができたので、そこで一息いれることにした。
天気は予報通り下り坂、明日以降の天気もはっきりしない。しかし、気圧配置は冬型ではなく悪くても吹雪になるようなことはなさそうだ。ガクさんとふーみんは不動岳への気持ちが強い様子だった。ここでビバークしてもと可能性を探っていた。ガクさんが不動岳方面を観察してきてくれたが、ガスっていてどのようにルートを取ればいいかも全くわからない。このコンディションで4人では登攀には相当の時間を要する・・・。
メンバー全員、それぞれに未練があったが、結局撤退する判断をした。
雪山の下山は、速い。未練があって、悩んでみたところで、あっという間に目標からは遠ざかっていく。女人堂で装備をまとめて、小屋の清掃をしてロープウェー山頂駅近くの遥拝堂避難小屋まで一気に下った(14:15)。降雪は、昼過ぎから次第に多くなっていた。
下山しても良かったが、やはり年越しは山でしたい!と、遥拝堂避難小屋に泊まらせてもらった。

navetake

往路の関越道で、交代して運転を始めたら雪が舞い始め、上毛高原のあたりから猛吹雪となり視界が悪くフォグランプが役に立つも、路面が冠雪して50km走行となる、慣れた車は高速走行で追い抜いていくが激突されるのは御免だ、上手に抜いてくれよと祈りながらの運転となり大変疲れた。
翌朝、スキー場に向かう途中の左カーブ出口で車がスピンして路肩の積雪に突っ込んでしまった、雪の中に立っている道路標識の鉄柱が車の左フェンダーにどんどん近づいてくるのを助手席から睨み付ける、あと30cmくらいで停止してくれた、念力と祈りが通じてよかった。4輪駆動モードにして脱出、雪道の運転習熟も雪山技術のひとつと覚える。
先行する登山者がいなかったので、たっぷりとラッセル訓練ができた。傾斜部のラッセル方法を習った、空身でトップを暫し勤めてから、荷物を取りに戻り、また登り返すことを全員で何度も繰り返した、登り返しは踏み固められたトレースを辿れるので荷物を背負っていてもとても楽に感じられた。またウサギの足跡や地形を見てのルート選びを堪能することができた。ウサギの足跡はなんとなく歩きやすそうな所に付いていることが多く、ルートに選ぶことがままあった。
リーダーの許可を得て初めてスノーシューを試した、スノーシューは一度踏み込むと再度沈み込むことはなく足元に安定感がある、一歩一歩が力強くなり歩幅を広げることができた。反面、傾斜がきつくなると滑りやすく、急登はつぼ足でこなした。急登対応は無理としても、もう少し傾斜に耐えられると一層便利なので、ブレード(爪)を追加してカスタマイズしようと思う。
女人堂の手前が意外な難所になっていた、ロープを付けたトップのガクさんがビレイ地点からは見えない雪壁で悪戦苦闘しているなか3人で寒さに凍えていた。次第に日が翳る中、気持ちが沈み込まないようにリーダーが配慮していろいろと話し掛けてくれた、時間もあり話題は多様だったが、夕飯の話題で俄然気分が盛り上がり、予定メニューのキムチ鍋への食欲アドレナリンのお陰で急傾斜の雪の壁を這い上がることが出来た。食欲をそそる献立は登山成功のスパイスかもしれない。
2日目は日の出前の暗い時間に小屋を出発した、ライトの明かりで先頭を進むリーダーの歩みに迷いはない、自分は前日の夕方に翌朝のルート確認をしていなかったため、雪の地形に自信が無く、前の人について行くのみ。幸い先頭交代の順番が来る前に夜が明けて視界が開けた。尾根筋を進み雪崩を避ける。
下見の時は薬師岳止まりだったが、急な斜面を下ってまた登り返して千本檜小屋まで行った、ガスが出てきてその先のトラバースルートは良く分からなかった、とても威圧的な手前の頂を巻いた裏側のコルから奥の頂の不動岳に取り付くらしいが、視界が限られルートと傾斜のイメージも無く、自分にはこの先の登攀は無理だと感じた。下見のときに千本檜小屋かその先まで偵察していたらもう少し具体的に考えることができたかもしれない。
真剣に山登りをすることができました、リーダーと皆さん有難う御座いました。

みのさん

■ はじめての冬合宿

山岳会に入って2年目の冬。1年目の冬合宿は初心者の自分が参加する事で行動範囲を制限してしまうのは申し訳なく、また自分自身が雪山の知見があまりにもなかったため、断念した。今年は11月の会山行の八ヶ岳の権現岳登頂ができたこと、寒さにも前より耐えられるようになり、今年は冬合宿に参加したい気持ちが高まってきた。

企画リーダの配慮もあり、参加させてもらえるようなになり年越しを山で過ごす事ができる幸せ感でいっぱいと通常の山行とは異なる合宿の厳しさへの不安の気持ち半分半分だった。が、今年は、寒さも例年より暖かく最終日はローブウェイ駅では雨で寒さや積雪によるラッセルの厳しさを味わわず、どちらかというと雪山経験不足、体力不足と登攀技術不足に直面する合宿だった。

■ 時計

ロープウェイを登った後、標高チェックを楽にできるよう、ザックに取り付けたところ、電池不足マークになり、ボタンを押すとリセットになるという、自分では対処できない状況になり、使い物にならなくなり、標高がわからないため、読図ができなくなるという悲惨な状況になった。時計の電池を換えるタイミングであるが、冬前に一度は換えた方がよいと思った。

■ 道(ラッセル)

11月の権現岳は、リードをガクくんやみのさんがおこなったため、何も道のないところを自分でルートを決めて進む事がなかった。積雪の上をどのように進むべきか、はじめは検討がつかなかった。次ふーみん、っていわれたときには、うーむ、、、と言う感じで、後ろにいたガクくんに確認しながら、進んだ。特に、女人堂から薬師岳の道のりは、やせた尾根や急傾斜を登ることが多く、夜明けになべ岳Lのあとをついていく時は、緊張した。日がでてくるとウサギの足跡を発見し、そのルートは野生の感というか彼らの領地であるため信頼性がありそうなので、その足跡をたどりながら進んでいった。

しかしながら、未だにどこが危ないか、雪崩のリスクがあるかは、わからない。雪の積もり方も風向きによって変わったりすると思われ、地形通りとは限らない。これからも日々修行していくほかない。

■ 登攀

今回のゴールは不動岳登攀であったが、私の技術不足により、薬師岳山頂までいければよいとの事をあとからきいた。それ以前に、女人堂の手前の急傾斜では、岳くんがリードでザイルを張ってくれたが、自分の足では登る事ができず、中間エイトで引っ張ってもらう事態になった。その日の反省会で、あれは絶対に登れる、わかんを外せば登れるなどメンバーからの意見をきき、非常に悔やまれ、寝る前のシュラフの中でイメージトレーニングしている自分がいた。時間をかけすぎてあせってしまい、あきらめてはいけない気持ちを捨ててしまった。しかし、冬山なので、どの程度までなら許されるか、自分自身で判断でるようになるには経験が必要だと思った。

そんな状況だったので、不動岳を登攀することは、難しいと判断されてしまったことは今の自分自身の実力不足では致仕方ない。もっと雪山にのぼって雪の性質やそれに対してどのように登ればよいかを経験していくほかない。

■ 一歩一歩

冬はアイゼン、ピッケル、わかん、防寒具など夏山に比べ荷物が重たくなるし、かさ張る。そのようなザックを背負いながら、目標地へ向かうのだが、一歩一歩あるいていくうちにゴールに近づいていく。当たり前の話だがそれを実感する合宿だった。あとからリーダーからザックが左に偏っていたビデオをみせられ、きちんと左右対称バランスよくパッキングできれば、少しはストレスは減ったかもしれないと思った。パッキングの重要性を改めて思い知らされる。

■ おわりに

初めての冬合宿、突然のザッキーのキャンセルもあり、荷物分担にアタフタしたが、目標である薬師岳まで行き、無事下山できた。これも、リーダー、サブリーダー、みのさんのおかげであるのかなと思う。みな、3年以上は雪山を経験している人ばかりの中で、甘えている私がいたのは、正直否めない。急登で岳くんがリードでなかなか進まない中、手足が冷たくなり、3人で歌ったり、気合いのかけ声をかけあってごまかしたりしたこと、精神的に強いみんなに助けられた山行でした。また、山に籠るという表現は今までピンとこなかったのですが、雪山にいると、風の音、雪の音、その影響によって何かが動く音しか聞こえない世界。そんな世界を感じられた合宿だった。

ぶんちゃん

■嬉しかったこと
・越後の雪山をまた経験できた。

・冬合宿の経験者がまた二人増えた。

・ウィンドスラブの雪質が初めて理解、体感できた。

■感謝すること
・女人堂手前の雪壁ルート工作に取り組ませて頂いた。

・薬師岳頂上直下の急傾斜のトップをさせて頂いた。

・薬師岳から千本檜小屋への下りは渡邉さんがいないと行けませんでした。
感謝であります。

・ふーみん/みのさんの食当、2日とも充実のお食事。
大変、美味でありました。ありがとうございました。

・八海山、バーボン、ジョニ赤、アルコール類のお裾分け、大変、美味しゅうございました。

■学んだこと
・厳しいポイントにアタック前は小腹を満たすべし。
→そうしないと判断力が落ちる。視野が狭くなる。
→女人堂前の雪壁でのルートファインディング能力が落ちて、
時間をかけてしまい、皆に寒い思いをさせてしまった。

・ルート工作に時間がかかっている場合は、状況を後続に伝えるべし。
→後続に余計な心配をかけてしまう。

・雪山においてはやはりサングラスが重要。
→今回普通の眼鏡で行ってしまい、雪面の凸凹が見えずルート取りに多少苦労した。

・合宿前は体力温存すべし。
二日前~三日前にゲレンデスキーに行ってしまい、体力を消耗。
29日夜気候が安定しており不動岳へルートを伸ばせるチャンスがあったのに、
それに対応できる程の活力を残しておけなかった。
メンバーの皆様、申し訳ありませんでした。

・八海山スキー場の林道ルートなら、千々和さんに頂いた山スキー+登山靴でなんとか下れるかも。

・わかんの着脱がまだ下手&遅い。精進すべし。

gaku88

越後 八海山下見山行

日 12月4日(土)〜5日(日)

メンバー ジャイアン、がく、ぶん、ざっきいー、鉄男、なべたけ(L)

年末年始の冬合宿に備えて、八海山の下見をしてきました。

ルートは、
3日 大崎口~女人堂~薬師岳~女人堂(泊)
4日 女人堂~大崎口

山麓の積雪は無し、1000mほどから積雪見られ、女人堂周辺は20cmほど。この時期の例年より少ないようです。

2日間、昼夜お天気に恵まれて、
雪のお山と広い宇宙をたくさん感じることができました。
冬合宿に向けて、いい山行になりました。

 

夏合宿A隊 只見川水系 中ノ岐川二岐川本流(平ヶ岳先ノ沢)

期間:2016年8月11~13日

メンバー:L:reiko、SL:sobe、morimaro、koba、fumi、komamino

8月11日(木) 快晴

道の駅ゆのたに駐車場(仮眠)=雨池橋(7:50)~二岐川林道(8:20)~曲沢橋(8:50~9:00)~檜枝岐小屋跡(11:35)~壊れた堰堤(11:40~12:00)~巻嵓沢出合(13:25)~タンスノ沢出合(16:15)~100m6段大滝上(19:00)

~ビバーク地(19:30)

前夜、22時橋本駅に集合。関東は午後からの豪雨の影響で小田急線、京王線に遅れがあったが、集合する頃には雨も上がっており、ほぼ全員時間通りに集合して出発することができた。morimaroさんとは翌朝道の駅で集合することになっていたが、私もmorimaroさんも体調が思わしくなく、現地で計画変更もあり得る状況での出発だった。

8月11日は今年から祝日「山の日」で、行きでの渋滞も予測したが、順調に道の駅に到着し、テントを張って仮眠。

6時30分、morimaroさんと合流し、雨池橋に移動。昨年の夏合宿に続いての雨池橋だが、今年は2台駐車してあるのみで、ゆったり駐車することができた。

計画は二岐川本流を遡行し、途中で尾根を乗越し、恋ノ岐沢を下降することになっており、車1台を恋ノ岐沢出合に駐車しておく予定であったが、morimaro、reikoの体調で中ノ岐林道に下る可能性が高いため、2台とも雨池橋に駐車して出発した。20分ほどでナメの美しい二岐川本流の出合に着く。更に10分ほど歩き二岐川林道入口に到着。注意しないと林道入口の橋は草に覆われて見落としやすい。林道とは言え、道はかなり荒れている。30分ほど歩いて、支沢にかかる橋に到着。道は所々ぬかるんでいるため、ここでウェディングシューズに履き替える。しばらく進むと、komaminoさんが遅れ、見ると靴の右足のソールが踵から土踏まずまで剥がれていた。小屋の沢手前でテーピング用テープで応急処置をする。まだ沢の遡行も始まっていない状況で、どうしたものかと思案しながら進む。檜枝岐小屋と思われるつぶれた小屋があり、車が埋もれている。かつて車でこの林道を入れたとは信じがたい。やがて暁の会報19号に中村さんが書いた遡行記録にある、幕営適地の壊れた堰堤に出た。確かに焚き火もでき、快適な幕場だ。

komaminoさんの靴は、補修したテープは切れてしまい、全員ここまでか、と途方に暮れていると、kobaさんが結束バンドを持っており、フェルトの踵部分2ヶ所にナイフで穴を開け、結束バンドでリングを作り、わらじの要領で靴に結びつけ、何とか先に進めそうな状況になった。ただこの先標高1400m付近まではゴルジュ帯で、幕営適地はない。morimaro、reikoの体調も考え、ここでの幕営を検討したが、まだ時間的に早いとの意見もあり、先に進むことにする。

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ここから遡行を開始し、やがてジョウ沢出合に着く。沢はほぼ1:1だが、ジョウ沢のほうが沢床が高い。合宿中本流で魚影を見ることはなかったが、誤ってジョウ沢に入ったkobaさんの話では、岩魚がいっぱいいたとのことだった。

やがて5m逆く字滝と思われる滝に出会う。左岸側から巻くが、降り口がなく、結局巻嵓沢出合の滝上に降りる。巻きにかなりの時間を費やした。その後も5m程度の磨かれた滝が次々と続き、微妙なへつりやツッパリで越えていく。

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時にはドボンする人もいたが、釜に落ちてみんなの笑いを誘った。雪渓がまったくないためか、思いのほか時間がかかり、100m6段大滝が始まるタンスノ沢出合を通過したのは16時を過ぎていた。それでも大滝に関する多くの記録から難易度はそれほど高いものではなく、1時間程度で登りきり、ゴルジュを抜けられると考えていた。しかし実際には大滝を登りきるのに5ピッチかかり、沢床に降りた頃には夕闇が迫っていた。今回の山行中、まったく雪渓を見ることはなかったが、多くの記録では、この大滝には雪渓が詰まっており、そのため比較的短時間で抜けられたのではないかと考える。

とにかく明るいうちに少しでも先に進み、幕営地を探したかったが、19時を過ぎあたりは暗くなり、目の前に深い淵の滝がかかり、これ以上の遡行は危険と判断し、思案する。ゴルジュの中ではあるが、かろうじて6人が夜を過ごせそうな岩があり、幸いにも夕立もなく夜間の増水はないと予測されたため、その場でのビバークを決めた。計画書通りの夕食を作れる状況ではなかったので、まずはお湯を沸かしてみんなで暖かいカフェオレを飲んだ。いつもは甘い飲み物はそれほど人気がないが、この時ほどおいしいと感じたことはない。みんな少し落ち着きを取り戻し、副食のマッシュポテトを作ったり、各自つまみや焼酎、ウイスキーのお湯割りを少量飲み、眠れないかもしれない夜に備えた。

各自あるものをすべて身に付け、また増水、落石に備えてハーネス、ヘルメットも身に付けて、3人ずつに分かれて、ツェルトやタープを被って体を横たえた。ゴルジュの中から見える狭い空は満天の星で、時々流れ星を見ながら寒さに耐えた。

8月12日(金) 晴れ

ビバーク地(6:05)~1400m幕営適地(6:50)~1452m二又(8:05)~1539m二又(8:50)~1650m恋ノ岐沢乗越への支沢(10:21)~支尾根~姫ノ池(14:40-15:24)~平ガ岳沢横断点幕営(17:50)

寒さに耐えられず、明るくなると早々に起きだした。明るくなって見ると目の前の淵はかなり深く、昨夜突入しなくて本当に良かった。温かい飲み物で冷えた体を温め、朝食のそうめんも温かいスープに変更し、身支度を整える。目の前の淵は左から微妙なトラバースで突破。40分ほどで左岸側に快適な幕営地を発見。1時間早く出発していればたどり着けたのかと思うと残念だが仕方がない。ゴルジュを抜け、日も差して徐々に体も温まり、水と戯れながら、へつりやつっぱりで次々と現れる滝やナメを越えていく。やがて1539mの二俣(1:1)を通過。間もなく計画していた恋ノ岐沢下降のための乗越しに突き上げる沢が左に滝を掛けて出合う。このあたりから沢はもう源頭の様相で流れも細くなる。忠実に本流を詰めて行くが、次々と5~6mの立った滝が続き、安全のためザイルを数回使用する。細い流れながら、最後の一手がない滝に、今回の山行中唯一の残置ハーケン、シュリンゲがあり、助けられた。できるだけ藪漕ぎせずに姫ノ池に出るため、最後の二俣で左にルートを取りたかったがザレた滝がどうしても越えられず、やむなく右にルートを取る。最後は草付きの藪を漕いで青木山に続く稜線に出たが、ここから笹とはい松、石楠花との格闘が始まる。背丈以上の藪で見通しが利かないため、コンパスとにらめっこで進む。悪戦苦闘の末、姫ノ池の湿地に出て視界が開けた。

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姫の池に着いたー

沢の装備を外していると、恋ノ岐を詰めてきた4~5人のパーティが現れ、互いの情報を交換しあった。彼らは姫の池に1泊するようだが、我々は泊りの水もないため、平ヶ岳山頂はあきらめ、がんばってプリンスロードを下り、中ノ岐林道まで下ることとした。急な下りは2日間の疲れた体にはかなり応える。もう限界と思う頃、登山道は平ヶ岳沢を横切る橋に出会う。今日の泊りはここしかないと、みんなザックを下ろし、濡れた物を広げ、焚き火や夕食の準備に取り掛かる。

みんなで焚き火を囲み、長かった2日間に思いをはせる。予想以上に厳しい山行となったが、今回の経験がこれからの山行に生かされることを祈るのみ。

8月13日(土) 晴れ

幕営(7:50)~中岐林道(6:45)~二岐川本流出合(10:40)~雨池橋(11:00)

本日は林道を歩くだけのため、起床は6時30分としたが、6時前からマイクロバスで送ってもらったと思われる登山者がテントの横を次々と通り過ぎて行くため、6時にはみんな起きだし、朝食の準備を始める。

焚き火の後始末をして出発。5分ほどで林道終点、トイレも水場もある。マイクロバスが1台止まっているが、運転手の姿は見えない。

今日も快晴で、暑い林道歩きになりそうだ。30分ほど歩いた頃、なにを思ったのか千々和さん、kobaさんが走り始めて、あっという間に姿が見えなくなった。昨日の藪漕ぎで2人は後のほうで苦戦していたはずだが、あの時体力を温存していたものと思われる。

林道を横切る主な沢には沢の名前が書かれた札が立てられており、現在地の確認に役立った。灰ノ又山に突き上げるハコジョウ沢、二岐川手前の滝沢など、出合に素敵な滝を掛け、心引かれる。10時30分、一昨日出発した二岐林道入口を通過。再び雨池橋に戻り、3日間のA隊夏合宿は終わった。

本来なら今回のメンバーで事前に沢でのトレーニングを重ねるべきだったが、私自身リーダーでありながら、なかなか会の山行に参加できず、トレーニング不足は否めない。またmorimaroさんも私も直前に体調を崩し、万全の体調ではなかったこと、komaminoさんの沢靴が入渓前に壊れたこと、私を除いて沢のビバークはみんな初めてであったこと等など、反省すべき点は山ほどあるが、弱音を吐くことなく、どんなときにも笑いの絶えなかった今回のメンバーに感謝。

記 reiko

夏合宿B隊:越後 黒又沢五竜沢

goryuusawa黒また沢山域 黒又沢五竜沢
日 2016年8月13日(土)〜15日(月)
メンバー nave take(CL)、gaku

8月13日(土)
天気 晴れ時々曇り
行程 十字峡登山センター(6:15)〜五竜沢出合(8:00)〜両門の滝(14:00)〜幕営地(17:00)

前夜21:00に相模原発。関越経由で六日町ICから十字峡へ。
十字峡には1:00頃到着。
この日はなんとか流星群がピークらしい。眠る前わずかな時間、満天の星空を見上げると流れ星がふたつ流れた。

5:00にはほとんど明るくなるが、6:00すぎに遅めの出発。中ノ岳登山口から3m登ると、黒又沢への分岐が左にあり、ダムの脇を黒又沢へつたっていく。
早朝だが、黒又沢の水は冷たくはない。今年は積雪が少なく、雪渓はかなり少ないと言われている。なんとなくだが水温からも雪渓の少なさを感じた。

荒涼としたというか原始的な印象の広いゴルジュを黙々と進む。昨年遡行した日向沢、明日の下降ルートとして予定している御神楽沢を通過していく。

ヘツリ

狭くなったゴルジュ帯の淵をへつりながら、徐々に緊張感が増していく。五竜沢はガイドブックによると中級の沢とあるが、果たして何を基準にしたものなのか。

navetakeは越後の沢は、一昨年の高倉沢と昨年の日向沢を遡行している。丹沢や奥多摩などの沢とは別物のような印象だった。gakuさんは昨年、灰ノ又と恋ノ又を遡行しているが、経験の少ない私たちにとって今回はどんな山行になるのか。

鉱山の名残の鉄橋と、左岸側壁からダムの放流のような大量の水が注ぐ箇所を横目に、進んでいく。右岸から曲沢、続いて五竜沢が合流してその先は、深い淵となっていて行く手を阻んでいるようだった。

五竜沢出合まで2時間。1時間30分くらいで来れたらと考えていたが、そこから甘い見積もりだった。

遡行図によると、出合から3m、5m、2m、6m・・・と連瀑が続く。「登攀的な沢」というガイドブックの通り、滝の登攀力が問われると思っていたが・・・。

7月に、丹沢の中では困難度が高いと言われている同角沢を主要な滝を全て直登して遡行していたこともあり、ある程度自信を持って臨んだ部分もあったが、それはあまり通用しなかった。

一見登れそうな滝も、取り付いてみると手掛かり足掛かりが乏しかったり、外傾していたり・・・。また、いつもは当たり前に存在しているハーケンやお助けスリングなどの残置物が一切見当たらない。

ここは無理をしないでと、高巻きに移ると・・・今度はマツコ、いや私たちの知らない高巻きの世界。高巻きという名の登攀。ホールドは、信頼度の高い潅木と、根強そうな草付き。スタンスは、不安定な泥壁。

もともと高巻きのセンスがない(navetake)うえに、落ち口へのトラバースも側壁の傾斜のプレッシャーから、どんどん上部へ登っていく。藪の中を15m〜30mほどの懸垂で沢へ戻るということを何度か繰り返した。

踏み跡らしきものは、まったくと言っていいほど見当たらない・・・。

堰堤状の滝 結局登れず
堰堤状の滝 結局登れず
両門の滝
両門の滝:中央左から右の本流へ抜けた

 

唯一、両門の滝25mをnavetakeが(いつも以上にビビりながら)リードしたことで、少しは溜飲が下がったか。ここも残置は皆無。ハーケン4本とナッツ1でランニングをすべて作って登る。滝上では、ハーケンとナッツでビレイ点を構築した。

(たしか)両門の滝の次の滝を高巻いて降り立ったゴーロの河原で本日の行動終了。

早い段階で受傷していたgakuさんの踵は、表面が内出血して少し腫れていた。滝に取り付いたが登れず、やや無造作に釜に降りてしまっため沢床に当たって受傷してしまった。痛みはそれほど強くはないようだ。

天気は良く、河原には乾いた薪が豊富で、快適な幕営地だった。軽量化のため、共同のテントは持参しておらず、各自ツェルトビバークをする。

Day1 ビバーク地
Day1 ビバーク地

 

8月14日(日)
天気:曇り時々晴れ
行程:ビバーク地(6:00)〜稜線登山道(14:00)〜五竜王大神の池(15:15)

この日もすっかり明るくなってから遅めの出発。天気はまずまず良さそうだ。
と、ビバーク地から5分で7mの直瀑前へ。落ち口の両端は数メートル切り立っていて、威圧感がある。
朝イチから容赦などない。左岸からお勤め開始である。30mほどルンゼ状を登り、尾根に出て反対側の沢床へ懸垂で下降した。
昨日1日を経て、私たちは多少なりとも諦観してきていた。これは修行なのだ。
時間が順調に過ぎていくなか、ジリジリと進んでいくしかない。

最後の大滝になる25m滝は、ガイドブックには左壁をハーケン3枚で登ったとあり、navetakeがリードトライするが、細かいスタンスとホールドしか見つけられない。左端の凹角を7〜8mほど登ってみたが、上のややせり出した岩の上はスラブで手掛かりがなさそう・・・。右へトラバースするには、ロープの流れが悪い。結局、ハーケン1枚残置して下降、左岸を巻いた。

昨日もそうだったが、取り付いて結局登れないと、その分時間のロスになる。登れるかどうかの見極め、時間配分もなかなか難しいところなのだろう。

それにしても、やはり雪渓は全く見られない。標高1000m付近で雪塊が見られたが、1週間もすると溶けてなくなってしまうかもしれない。

少しずつ水量が減り、ゴーロ帯に移っていく。稜線はまだまだ遠い。巨岩の間を縫うように攀じのぼる。水線は、消えては現れ、現れては消える。結構終盤まで残っていた。

巨岩を縫うように攀じ登るgakuさん
巨岩の間を攀じ登るgakuさん

 

稜線への最後の藪漕ぎ
稜線への最後の藪漕ぎ

五竜岳へ伸びるゴーロ帯から、阿寺山への稜線へ向かう登山道のような支沢に入る。草付きの藪をかき分けて稜線を目指す。アブがうるさい。gakuさんが、阿寺山方面へ絶妙にライン取りをしながら、一般登山道に出ることができた。

すでに14:00。今日中に御神楽沢を下降するのは難しいだろうと話し合っていた。
稜線に出て携帯のアンテナが立ったので、行動予定の変更をメールする。ついでに、明日の天気予報をチェックすると、午後から雨の予報。
15:15、御神楽沢への下降点である、五竜王大神の池に到着。
明日の天気を考え、できる限り御神楽沢を下降しておいたらとも考えたが、地形図上では平坦な箇所はなく、無理をせず、池のほとりでビバークすることにした。

予定では1泊2日の行程で、できる限りの軽量化の考えから、十字峡を出発する際に、予備食はアルファ米1食分としたため、夕食はコンソメスープに高野豆腐を入れたもので済ませる。アルファ米は明朝に残しておいた。
アプローチシューズも、御神楽沢の下降ならいらないだろうと十字峡に置いてきたが、長時間の沢靴の歩行に疲労度が増していた。
軽量化とのバランスを考えていかなければならないが、これも経験だろう。

アルコールもなく、宵の口からそれぞれ、シェラフカバーとツェルトと山の闇にくるまって疲れを癒す。明日は、3:45起床予定とした。雨が降り出す前に下山したい。

夜半、小雨が降り出す。天気の悪化が早まったのか。夜明けまで断続的に降っていた。
navetakeは空腹と、降雨でツェルトを頭まですっぽりとかぶる息苦しさから、熟睡ができない。

gakuさんは、いびきをかいて気にする様子はない。

 

8月15日(月)
天気:小雨のち晴れのち雨
行程:五竜王大神の池(6:00)〜阿寺山〜山口(9:30)

本日8月15日、終戦記念日。
明るくなって雨は止んでいるが、空は所々雨雲がかかっていてはっきりしない。
夜の雨で、沢の下降は難易度が増していると考え、阿寺山経由で下山することを決めた。御神楽沢の下降は核心の一つと考えていたが、正直ほっとしていた。

下山し始めると、次第に雲が薄くなっていく。沢筋に入ると日が出てきていた。天気の変化が前倒しになったのだろうか。
残念な気持ちはあまりなかった。下部に大滝を持つ傾斜の強い御神楽沢を下降するには、私たちには不安要素が多いと感じていた。

広堀川の途中の露天風呂のような釜に浸かって汗を流し、山口へ下山した。

午後からは、また雨が降り始めた。

 

あとがき

2日目の朝、1時間早く行動を開始していたら、滝を登れるか登れないかの判断をもっと適切に行えていたら、もっと御神楽沢について下調べが出来ていたら、予定通り御神楽沢を2日目に下降できたかもしれなかった。

なかなかチャンスは限られているので、そんな積み重ねを少しずつでも大事にしていけるようにしたい。

 

丹後山:春合宿

【山域】越後 丹後山(1,808.5m)~ 兎岳
【メンバー】(L)sobe、morimaro、koma、komamino
【期日】5月3日〜4日 5日(予備日)

5月3日(火)
7:00十字峡登山センター~7:34栃ノ木橋~7:40丹後山登山口~8:05 一合目(鉄砲平)
~9:00三合目~10:05 1450m付近~11:00しし岩(八合目)~11:30山頂~12:00丹後山避難小屋発
~13:00四合目~13:15三合目~14:15丹後山登山口~15:00十字峡登山センター着

低気圧の通過による荒天が明らかだったので、日帰りで丹後山往復に行動予定を変更した。

前夜の2日(月)22時にJR橋本駅に集合し、komaさんの車にsobe、komaminoの3人で出発した。
morimaroくんは群馬の実家に戻っていることもあり、シャクナゲ観光センター駐車場で落ち合うことにした。

予定通りの出発であったが、鶴ヶ島ジャンクションに気がつかず、圏央道をそのまま突っ走ってしまった。
『あっちが関越じゃないの?』と間違いに気がつき、坂戸ICで聞き返すことにした。
前にも同じことを経験したが、どこだったかなとkomaさんと会話をしたが、思い出せない。
対処方法は理解していた。料金所のおじさんに事情を説明し料金を払うことなくUターンさせてもらった。

関越自動車道に戻り、順調に進むと思われたが事故渋滞が発生。
六日町ICまでの間に3件ほどの事故に遭遇した。
結局50分ほどの時間ロスであった。
シャクナゲ観光センターの駐車場には車が1台駐車中であった。
morimaroくんの車だ。
午前2時少し過ぎに到着した。
駐車場にテントを張り就寝についた。
午前3時である。

翌日3日(火)は5時30分起床し、十字峡登山センターに向け出発した。
登山センター前の駐車場には車が数台止まっていた。
山菜取りの客のようだ。

シャクナゲ観光センターを出発前に、天候について話あった。
3日は終日好天であるが、夜遅くから4日の午前中まで低気圧の通過に伴い天候は悪くなる。
morimaroくんから「丹後山までの日帰りも想定したらどうか」との意見があった。
十字峡登山センターまで車が入れるので日帰りも十分に可能である。
また天気の回復が遅れた場合、兎岳への登山は断念し下山することになる。
新人のkomaminoさんも初の合宿参加なので、荒天の中を下山するリスクを考えると無理をせず丹後山までの日帰りに計画を変更した。

装備類は日帰り登山用に変更、不要なものは車に残し、7:00に登山センター駐車場を出発した。
丹後山 登山口となる栃ノ木橋までの林道をゆっくりと歩いていく。

図4

春とは思えず初夏に近い陽気、風は生温い。

図2

林道には一部沢筋から落ちてきたと思われる雪があるものの、全くと言っていいほど雪も残ってなかった。

図3

見渡す山々も初夏並みの残雪程度であった。
この季節のこの林道は残雪に覆われ、雪の斜面をトラバースしながらの歩行となるようだ。
気を抜くと雪解け水で勢いのある三国川に落ちかねない。
ここもまた核心部になるようだ。

雪が無いおかげか、コースタイムより20分ほど早く栃ノ木橋に到着した。
橋を渡るとすぐに登山口のような踏み跡があるが、これは作業用に作られた踏み跡らしい。

丹後山 登山口まで50mの標識もあり、間違えることはない。
指示通り50mほど進むと丹後山 登山口が現れた。
そのまま登山口を進む。
いきなりの急登で大変だが、日帰りのため荷物が軽くなった分、楽に登れたように思う。

図5

30分ほど登ると鉄砲平と名前のついた一合目にでた。
何か言われでもあるのだろうかとしばし考えるが、どうでもいいことだ。

急登はまだまだ続く。
日向山への登りも登り始めは急登であった。
このあたりの山の特徴なのだろうか。
おまけに虫も多い。
花の季節は虫が多いことは知っているが、やはり邪魔だ。

シャクナゲや淡いピンク色をした花(名前がわからない。)が群生している。

図6

図16

シャクナゲはピンク色、赤色があり、登山口付近ではピンク色が群れ、ほとんど終わりかけていた。
標高を上げていくと赤色に移り変り、これからが見頃になっていくだろう。

4合目付近までは急登が続き、ちょっと厄介であり、雨の中の下山は嫌だなと思った。
新人のkomaminoさんも順調に登っている。
ウッドシャフトのピケルを持ち、山登りの歴史を感じる。

図8

東側の稜線に目を向けると、稜線上は雲に覆われ始めていた。
低気圧が日本海を北上するため、南側からの湿った風を巻き込んでくる。
そのため、東側の稜線上には雲が湧いてきたのだろう。
そのほか見渡す限り見通しは良く、順調に丹後山までは行ける。

図7

阿寺山からの稜線の先には五竜岳までも良く望め、日向山の先には中ノ岳が大きく居座っていた。
中ノ岳までの稜線を眺めていると、昨年11月の会山行で登った道程がまだ記憶にあり、懐かしく思い出す。
山域を集中して登ることはいいものだなと思った。

1,450m付近の稜線上からは風が強くなるが、天候が崩れる様子はない。
まだまだお陽様は降り注いでいる。
5合目付近から残雪が姿を出し始め、ザラメ状の雪に足を取られながらの歩行となった。
komaさんは足の痙攣のため、若干ペースダウンした。寝不足の影響なのだろうか。

図9

11:00に展望が開け、8合目の獅子岩だ。
風はますます強くなる。
熊笹の群生した上に残雪、その上を尾根の南側を登っていく。
途中、耐風姿勢を何度も取らなければならない強風。
風速40m以上はあったのでは?
こんなに強い風は、sobeは過去の経験を思い返しても見当たらない。
ザラメ状の雪が鉄砲玉のように容赦なく頬に打ち付ける。
痛い。

図10

図11

20分ほど耐えながら登ると避難小屋が見えてきた。

先行のmorimaroくんが見えない。
丹後山山頂に先に行ったのだと思うのだが、
山頂が見えてきても、morimaroくんの姿が見えない。
近づくと、三角点付近に熊笹よりも姿勢を低くしてうずくまっていた。
体調が悪いわけではなく、強風を避けるための姿勢だった。
ほとんど寝転んでいる状態だ。

図12

図14

山頂は展望も良く、見渡す稜線はなんとも言えず美しい。

風さえなければいつまでも眺めていたい風景だ。

大水上山、兎岳から中ノ岳に続く稜線は見ているだけで気持ち良く、思わず歩きたくなる。
丹後山から中ノ岳の稜線が残ってしまった。
次の機会は必ずここを計画するだろう。

山頂では長居は無用。
写真撮影をし、早々に引き返す。
一旦避難小屋に立ち寄り、身支度を整え直して下山に向かった。

図15

やはり山頂直下の南側の斜面は風が強く、度々耐風姿勢を取らなければならなかった。
獅子岩から下の雪の斜面で、komaさんとkomaminoさんはアイゼンを付け下った。
ザラメ状であっても、アイゼンを付けることで安心感を得られたようだ。

登山口には14:15到着。
12時に避難小屋を出発しわずか2時間15分で下ったことになる。
駐車場には15時到着。
まだ雨は降っていないが、登山センターでも風が強くなっている。
登山センターに泊まり、山談義に花を咲かせた。

図17

3月会山行 越後 阿寺山 雪洞トレーニング

【目的】 雪洞トレーニング
【日時】2016年3月5日~6日
【参加メンバ】れいこさん(L)、 森麻呂さん、こまさん、Gakuくん、Kobaさん、ふーちゃん(記)
【活動報告】
雪山での雪洞の作り方、遭難救助活動のトレーニングとして、越後の阿寺山にいってきました。

11時半から初日は晴れ時々曇りで、雪が少なかったですが、10センチから30センチくらいのラッセルをしながら、6人で順々に上っていきました。13時半にテント幕営を行い、雪洞の作り方や雪質の見方を教えてもらいました。雪が少なかったので、一人がやっとは入れるくらいの雪洞をつくりました。(Gakuくんが一人で利用)

小さな雪洞ですが、、
小さな雪洞ですが、、

夜ご飯は、鶏塩白湯鍋(Kobaさん作成)で野菜たっぷり、水餃子まで、〆は豆腐、玉子、チーズのリゾットをたらふく食べて20時には消灯しました。夜から明け方にかけて、強風のため、テントのフライの音で何度か目が覚めましたが、4時のタイムキーパーの私が携帯の目覚ましに気づかず、レイコさんが4時30分におきて、朝ごはんを食べ、6時に阿寺山へ出発しました。

非常に晴れており、360度パノラマ状態。八海山、中ノ岳、巻機山、北アルプスまで展望でき最高でした。

頂上に登ってくるレイコサン
頂上に登ってくるレイコサン

テント周辺で、雪崩による救助活動のトレーニングを行いました。ビーコンの使い方、周波の流れ、ゾンデの使い方を学んだ後、各メンバが遭難したことで、その他のメンバが救助しました。

ビーコンを使いながらゾンデで探す、こまさん。
ビーコンを使いながらゾンデで探す、こまさん。

今年から雪山をはじめましたが、暖冬で雪が少なく、寒さも分からず、終わりましたが、いろいろな経験、知識が広がって有意義でした。来年こそは、雪洞でみんなでご飯、お酒を楽しみたいです。ありがとうございました。

■Sobe監督の暁 THE MOVIEはこちら。

■森麻呂さんのBlogはこちら
不完全な雪洞訓訓練も、山頂の絶景には大満足! 越後・阿寺山

中ノ岳 越後 11月会山行

11月7日(土)〜8日(日)に越後中ノ岳に出かけました。 日帰り組を含め総勢9名のメンバー。楽しめました。     7日は曇りだったり、ガスったり、晴れたり、天気は猫目でした。日向山山頂は快晴、中ノ岳が大きく目の前に現れ、私たちは圧倒されました。

DSCF5281
中ノ岳山頂にて、標高差1600m。よく頑張りました!

夏山合宿C隊 奥只見・只見川水系恋ノ岐川

早速ですが、夏山合宿C隊帰ってきました。2日目に激しい降雨による増水に見舞われ、計画は大幅変更となりましたが、3日目勝負で何とか予定の行程をこなす事が出来ました。急な予定変更に付き合ってくれたメンバーに感謝です。それにしても、今更恋ノ岐川なんてと思っていましたが、美しいナメ床や小滝、エメラルドグリーンの釜や淵、上流部は日本庭園のような景観と言った具合に、本当に噂に違わぬ超美渓で大満足の3日間でした。Gakuくんが言っていましたが、紅葉の時期は更に良いかもしれません。また訪れてみたいものです。

場所:奥只見・只見川水系恋ノ岐川
メンバー:Kobさん、Gakuくん、森麻呂(L)

8月13日(木) 天気:曇り
恋ノ岐橋(8:45) → 清水沢出合(10:30) → 三角沢出合(11:50) → 三角沢出合上(11:55)
8月14日(金) 天気:雷雨後一時曇り後雨
三角沢出合上(10:30) → オホコ沢出合(13:00)
8月15日(土) 天気:晴れ時々曇り
オホコ沢出合(5:50) → 大ナメ滝40m(8:55) → 登山道(11:50) → 姫ノ池(11:55~12:15) → 平ヶ岳(12:30)
平ヶ岳周辺散策 → 姫ノ池(13:15) → 白沢清水(14:00) → 平ヶ岳登山口(17:15)

詳細は下記、森麻呂Blogを御参照下さい。
深淵の森に穏やかに佇む超美渓 奥只見・只見川水系恋ノ岐川 ~1日目・長大なナメ床にうっとり編~

深淵の森に穏やかに佇む超美渓 奥只見・只見川水系恋ノ岐川 ~2日目・激しい恋の濁流にタジタジ編~

深淵の森に穏やかに佇む超美渓 奥只見・只見川水系恋ノ岐川 ~3日目・日本庭園鑑賞から下山編~

深淵の森に穏やかに佇む超美渓 奥只見・只見川水系恋ノ岐川 ~番外編~